勇者ケント捕獲作戦2
「大丈夫か? 駄目だ起きねぇ」
ヤオチュが介抱しても、おばあさんの頭の上に★マークのエフェクトがクルクル回ってる。
「ヤオチュはヒヨコが回ってたけど、この人は★マークなのね」
「ヤオチュは出身地が違うからでしょう」
「テメーもヒヨコだったぞ」
「そうですか? 自分で自分の気絶エフェクトは見えないもので」
今はそれよりコッチよ。何があったの?
「連続攻撃を受けて気絶値が50を超えたのでしょう」
一体誰がどんな攻撃をしたのかしら。
「それは〜 ケンちゃんが〜」
言わないでエロ真由美!
「モンスターの攻撃判定にはHP減少とは別に隠しパラメーターの気絶値があり、蓄積すると気絶状態になるのです」
ケンちゃんもうモンスター扱い?
「私が治療しましょう」
先生がおばあさんのお腹に両手を当てる。左手がお腹を斜めに素早く擦り、右手指で連打すると… ★が消えた!
「古文書によるとアナログパッド左手レバガチャ右手Aボタン連打で気絶から回復するとあります。ヤオチュが回復したのは3頭身マユミ達がたまたまコマンドを入力したのでしょう」
「あなろぐぱっどって何だよ」
「私も見た事はありませんが効果はこの通り」
「ああ… やめるんじゃ… わしは死んだじーさまに操を立てて…」
「起きた!」
「ケン坊はどっちに行ったんだい?!」
「はっ、そうじゃ。勇者ケントがワシに言い寄ってきた所に孫娘が来て… 2人はそっちに…」
「少女に声掛けし、ひと気のない森の道に連れ込むとは事案発生ですね」眼鏡クイッ
ひいぃぃぃー! 早く止めなきゃ!
「ばーさんはあたいが介抱するからみんなはケン坊を追って」
「任せたわローザ」
「森の道を抜けたら村だぜ」
「急がなきゃ」
ローザを残してヤオチュと真由美本体が森の道を駆け抜ける。私達3等身真由美はニュンペーだから空中に浮いてるだけで本体が牽引してくれて楽ちんラクチン。その後をゼイゼイ言いながら追う先生。がんばって。
少し開けた明るい広場に出ると、倒木に少女がチョコンと腰掛けてた。口の中で何かをコロコロ転がしてる。
「ゼー、ゼー。無事でしたか」
無事でないと困るよ。
「おばあちゃんちにパンを持ってく途中でー、勇者のおにいちゃんがー、アメ玉あげるから森の中で遊ぼうって」
そういうのについてっちゃダメ!
「でもー、パパとママがー、勇者は村を守ってくれたからー、勇者に任せれば安心だって言ってたよー?」
「昨日のバトルが裏目に出ちまったな」
それでケンちゃんはどっちに行ったの?
「急にあっちを見てー、『また遊ぼうね』って」
「ゼー、ゼー、何を見つけたんでしょう?」
「とにかく追うぜ」
「ゼー、ゼー、また走るんですか?」
「グダグダ言うな!」
「あっちよ、あっち。あっ、あそこ!」
「本体が何か見つけましたね」眼鏡クイッ
「ゼー、ゼー、あれは村一番の美少年、アドニスくんです」
木漏れ日の差す草むらに★マークをクルクルさせながら倒れてるのは村一番の美少年アドニスくん。妹の初めてのおつかいが心配でコッソリつけて来たのね。
「左ガチャ右連打!」
「はっ!ああ…ケント… ケントはどこ? どこに行ったの?ケント…」
何があったーーーーーっ!
「それはもちろんナニ…」
やめて!
「そういう匂いはしないから何もなかったと思う」
どういう匂いよ匂いフェチ真由美?
「栗のは…」
ダメっ…それ以上は絶対駄目っ!
「ゼー、ゼー、おかしいですね」
それはもう色々ね。
「性欲999に振り回されているハズの勇者ケントが、ここまで手当たり次第に堕としながら全員何もしないで立ち去っているのは明らかに異常です」
「昨日パラメーター見たんだけどケンちゃん… そっ…そっ…ソッチの経験値ゼロだったから… 何をしたらいいかわからない、とか?」
「でも〜 今時の男子なら〜 スマホで検索して〜 ひと通りの知識はあるはずよね〜」
「ウチの店にスマホ落としてった時に検索履歴を覗いた事あるけど、それはもう色々な!」
「さすがストーカー真由美」
「ゼー、ゼー、勇者ケントは完全に理性を失っているわけでもないようです」
つまり私への純愛を貫いてるって事? やっぱり私のケンちゃんね!
「そういうとこ羨ましいですポンコツ真由美。単にここまで彼の股間が爆発する程のターゲットがいなかっただけの事。おっぱい星人の勇者ケントなら、あそこに倒れているようなダイナマイトバディーのお姉さんに出逢えばタダでは済みませんよ」
委員長真由美の指差す先には… 緑の髪で露出度の高い巨乳美女が。
「ゼー、ゼー、精霊の一種で樹の精霊です。西方ではドリアードとも言い、美少年を見付けては木のうろ穴に咥え込むとか。木の中で一日交わると外では数百年たっているそうです」
浦島太郎みたい
「ゼー、ゼー、あらゆる物語はギリシャ神話で描き尽くされているのです」
「あ〜ん素敵よ… もっと…」
何かエロい寝言いってる…
「ゼー、ゼー、危険ですから起こさずにスルーしましょう」
「おっぱい大きい〜 つん、つん」
エロ真由美ったら樹の精霊が気絶してるからって好き放題ね。
「あれ? きゃー」
あっ、エロ真由美と樹の精霊が眩い緑の光を放った! 光の中に現れたのは相変わらず3頭身だけど緑の髪で巨乳のエロ真由美。みんな!エロ真由美と樹の精霊が合体しちゃった!
って本体真由美も緑の髪になってる。しかも巨乳!
「え?あれ? 私の髪が… 胸が重い? え!やったー大きくなったー!」
「どうやら樹の精霊には『みりょく』もしくは『バスト』のバフ効果があるようですね」眼鏡クイッ
「これでローザにも負けないわ! よーし早くケンちゃんをつかまえて誘惑しなきゃ! 行くわよみんな!」
「あっ、あそこ!」
しばらく進むと今度は金髪に金の髪飾りを着けた精霊が岩の上で気絶してた。
「む…この岩は金鉱石ですね。するとこの方は金の精霊といったところでしょうか? かなりレアで私も見るのは初めてです」
金! 金なの? 素敵! あれ? きゃーっ
「あっ、今度はポンコツ真由美が!」
あたり中が目も眩む金色の光に包まれて。薄れた時に私は金髪になってた!
「あーっ、おっぱいが元に戻ったー!」
金髪になった本体が胸元を覗いて悲鳴をあげてる。
「うーむ、でっぱいの精霊とちっぱいの精霊を吸収する事でプラスマイナスゼロになったのでしょう」眼鏡クイッ
とほほ… ちっぱいの精霊とか言わないで。金髪っていいじゃない? ケンちゃんアフロディーテさんにデレデレしてたから、きっと食い付くハズ!
「老婆に少女に美少年に樹木に岩石… スゲー守備範囲だな」
「このまま村に突入したら恐ろしい事に」
みんな急いでーーーっ!




