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幼馴染のツンツンな委員長が、異世界では俺にデレデレなんです  作者: 松林ゆきひろ
【現実との闘い】
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部長vs委員長 史上最大の決戦!

「あなた本当に私の漫研を潰す気?」

 さくらは私を教室の隅に押し付けて下から()め付けて来た。ちょっと待って。この()こんなだったっけ? 騒いでばかりの馬鹿なお嬢様と思ってた。これは油断してると押される!


「でも漫研の不祥事を公開して困るのはあなたの大大だ〜い好きな『ケンちゃん』の方じゃなくって? 猥褻物の墨入れとかトーン貼りを手伝ってるんだから。今はパソコンでポチポチやるだけの簡単なお仕事だけど共犯は共犯よね〜? 私と違って後ろ盾がないから大変ね。あ〜可哀想なケンちゅわ〜ん。進学に失敗したらウチで雇って飼ってあげようかしら?」

「ぐっ!」


「だいたい授業妨害とか言ってるけど要は嫉妬でしょ? 私達がケンちゃんと毎日仲良くしてるから」

「合田さん貴方(あなた)いつもは『山田』とか呼び捨てなのに急に『ケンちゃん』ってナニ?」


「アンタこそケンちゃんケンちゃん言ってた癖に『山田君』とか何スカしてんの? やる気あるの? ホントは入れて欲しいんでしょ? 土下座して『入れて下さい』って言えば入れてやってもいいのよ?」

 待って。おかしい。私が『ケンちゃん』って呼んでいつも一緒にいたラブラブ時代は小6まで。さくらと来生くんは違う小学校。中学校は一緒だけどクラスは違ったし。中学に上がってすぐケンちゃんが恥ずかしがるようになって。あの事件があってからずっと『山田君』って呼んでるから… 知ってるハズがない。


「誰に聞いたの? 私が『ケンちゃん』って呼んでた事」

「アンタからに決まってるでしょ! いつもいつもケンちゃんケンちゃん言ってベタベタベタベタくっついて! 私だってケンちゃんが好きだったのに!」

 さくらは急にうつむいて変な事を言い出した。さっきまで鬼のような目で睨んでたのに何だか切なそうに、悲しそうに。それを私に見られたくないの? どういう事? 確かにいつも、もう1人ついて来てたけど。アレはケンちゃんの妹の美奈ちゃんよね?


「まだ気付いてないの? アナタ私の()()()()()を知ってるでしょ?」

 本当の名前? そいう言えば入学してすぐ先生から聞いた記憶が。


『飯田は家計に問題があるので特別にバイトを認めている。あと合田さくらの本名はこの書類の通りだ。普段は平仮名のさくらで通すように。ただし正式な書類は漢字3文字の方でないと通らんから注意な。どちらも大っぴらに言ってイジメ問題になるとかなわん。委員長として配慮してくれ』

『読めない事はありませんし意味も通ってます。当て字にしては良く出来てると思いますけど』

『お前はさくらと読むと知ってるからな。知らない人が初見で読めるか?』

『あっ… 読めません』

『さくらの父親がどうしてもと付けたが母親は気に入らんそうだ。ラーメン屋みたいでイジメられるに決まってるとよ。あの人はPTAの会長様だからな』

『長い物には巻かれろという事ですね』

『本当の事を言ってみんな幸せになるならいいんだがな。現実は逆だ。社会に出たら必要な処世術だよ。今のうちに覚えておいて損はない』


 ラーメン屋みたい? そうだった。この()の本当の名前。あれは。あの意味は!

「その目、やっと気付いたわね?」

「あなたが何でここにいるのよ!」

「あんただっているんだから私がいたっていいでしょ?」

「でもあなた今は来生君とつきあってるじゃない」

「真由美がいるから譲ったのよ! それなのにいつまでもトロ臭いったら! それなら私が頂くから!」


 トロ臭いって言われても。

『ケンちゃん大好き』

『私を見て』

『本命チョコよ。受け取って!』

 いつも喉元まで出て来てるのに、イザとなると喉がヒリヒリしてどうしても口から出ない。まるで誰かが鍵をかけてしまったみたい。チョコなんて3年も渡せずじまい。

「そういうのは男子の方から言うものでしょ!」

「面倒な女ね。まー入部は考えといて。歓迎するわよ」

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