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幼馴染のツンツンな委員長が、異世界では俺にデレデレなんです  作者: 松林ゆきひろ
【現実との闘い】
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斥候

「うわっ」

「はわわわわわーーーーーっ」

 俺達は2人して叫んだ。特に変な声を出したのは真由美の方。俺は音が聞こえてたから少しだけ予想して覗いたけど真由美の方は予想外だったようだ。

「ケンちゃん何してんのっ?」

「俺はホラッ自転車の調子が悪くて。真由美お前こそなにしてんだよ?」

「ととと飛び出したら危ないから左右確認してたたけよっ!当然でしょっ!」

「もしかして俺の後姿を見たくて(あわ)てて追いかけてきたとか?」

 あーもちろんソレは俺の方なんですけど。冗談で言ってみたら真由美のヤツ真っ赤になっちゃった。

「そっ、そんなワケないじゃない! 忙しいから先に行くわよっ! 仕事がいっぱいあるんだからっ! 委員長としてっ!」

「委員長って朝からそんなにやる事あったっけ… ってもう行っちゃったか」

 真由美は俺の話も聞かずに慌てて自転車に飛び乗ると、凄い勢いで猛ダッシュした。いやいや朝から立ちこぎで行ったら着いた頃には汗だくでしょ。変なヤツ。


 でも4月に高校に入って3か月… いや中1からだから丸3年か。1回も顔をあわさず別々に登校してたと思ってたのに、モシカシテ真由美はコッソリ俺の後姿を見ながら登校してたのかな? もしかして可能性があったりして?

 そんなホンワカ幸せな気持ちは残念ながらすぐに粉砕される事になった。もうすぐ学校の正門が見えそうな所で自転車を降りて押しながらテクテク歩く真由美。自転車を挟んで左にいるのが真由美で、右側で楽しそうに話してるのは2年の男子テニス部の先輩。校内でも有名なチャラ男だった。


 ウチの学校は文武両道が自慢だ。ただしそこにはカラクリがある。真由美みたいに成績上位3分の1で入試を通過したのが文担当の優等生。あの先輩みたいに中学からスポーツ部上位の内申書が来て受験では下3分の1の成績で入学したのが武担当の優等生。

 俺みたいに成績並みスポーツ並み以下の生徒は『落ちこぼれ』と呼ばれる。先生達の成績に何の貢献もしない『落ちこぼれ』が自由に生活して『ろくでもない事』をやらかしては責任を問われる。だから『落ちこぼれ』は強制的に部活に入らされ補習を押し付けられ自由時間を減らすような工夫がされている。『着衣の乱れは心の乱れ』と言って常に制服をピシッと着こなさないと生徒指導室で30分は説教される。

 一方で真由美のような成績上位3分の1は塾だ自習だと言えば『帰宅部』でオッケー。成績下位3分の1のスポーツエリートは大会で成績さえ出せば授業中に昼寝してようが学校を抜け出そうが部活で暴力だの不純異性交遊だの悪い噂があろうが警察につかまらない限りは放置。開きっぱなしの(えり)からシルバーアクセがチャラチャラ見えていてもテンでお(とが)めなしだ。


 だがあのテニス部のチャラ男は特にヤバい。女子生徒を誘って学校をサボり昼間っからカラオケボックスに連れ込んで次々に食ってると噂がある。彼氏が連れ戻しに乗り込んで集団で殴られたという噂もある。

 まったく… 俺の事をマッハでスルーして学校に急いでたのはこんなヤツと話をするためだったのか?俺は急いで追いかけて声をかけた。

「真由美、委員長の仕事があんだろ。ゆっくり話してていいのか?」

 ってね。そしたらアイツ『しまった、マズイとこ見られた』みたいな顔してこんな事を言ったんだ。

「学校でなれなれしく名前で呼ばないでくれる? あと私が誰と話そうと山田君とは関係ないでしょ?」

 ああ畜生! 俺には関係ないですよ! でも真由美は慌てて自転車に乗って駐輪場のある裏門側に走り始めた。とりあえず邪魔できたからヨシ! 俺も真由美を追いかけなきゃ。

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