真由美、覚醒
ケンちゃんが… 呼んでいる…
はっ!私なにしてたの? ここは『子猫亭』の寝室? ベッドの上に… 私が寝てる?ちょっと待って? 寝てる自分を見降ろしてるってコレ幽体離脱? ってベッドも私も大きくない? っていうか私が小さいの?
「ふーむ、口を開けて鼻提灯。どうやら眠り薬を盛られたようですね」眼鏡クイッ
ビックリ!耳元で私の声! 誰コレ! え? 三頭身の私?
「落ち着いて下さい。貴方も三頭身ではありませんか」クイッ
何眼鏡クイッとかしてんの?私、眼鏡とかかけてないんですけど?
「私は『委員長真由美』ですから。委員長として」
って言うか私も三頭身? え… おっおぱいが… おっぱいが… なーーーーーーーーい!
「平べったいだけです。ないわけではありません」
同じでしょ!ケンちゃんの… ケンちゃんのための自慢のおっぱいが!
「女性のおっぱいは子供に母乳を与えるための物です」
当座はケンちゃんの物でしょ!
「そんな事より大変だ!」
え? 三頭身のがドアの所にもう1人?幽霊みたいにドアを通り抜けて廊下を見てる?
「ケンちゃんも眠り薬を盛られて7号室に連れ込まれた。犯人はリラ、ローザ、カティー。畜生!ケンちゃんにばれないようにライバルを追い払って、チョコもラブレターも全部捨ててたのに!今までの努力が台無しだ!」
「この娘は『ストーカー真由美』ですね」
「私達も早く行きましょう!ケンちゃんが眠っている今が大チャンス!今のうちにケンちゃんの全身にキスするのよ!」
「この娘は『エロ真由美』」
「私、匂い嗅ぎたーい!汗の匂いにー、脇の匂いにー。それから… むふふふふふ~」
「この娘は『匂いフェチ真由美』です」
へんたいばっかりだーーーーーーーーっ! しかも『エロ真由美』にはおっぱいがある!ズルい!
「落ち着いて下さい『ポンコツ真由美』。私達は本体から離れられません。7号室に突入するには本体を起こす必要があります。一緒に作戦を立てましょう」
誰がポンコツよっ!
「キス―、キス―」
「汗の匂いにー、脇の匂いにー、ち」
やめいっ! そっから先は駄目っ!
「まずは現状把握です。このデッキ配置はケルベロス戦そのままですね。放置されていた結果、私達が動けるのは不幸中の幸いでした」
デッキ配置っていうと、前衛の壁担当が3人、後衛の魔法担当が3人、指揮と魔法担当の大将が1人よね? 私達は2人デッキだから、前衛中央のケンちゃんが敵の攻撃を捌いて防いでる間に、大将配置の私が呪文詠唱する作戦。
「私達、勇者ケントに惚れた水の精霊は真由美の精神と同調して空き5か所に組み込まれたのでしょう」
なるほど、この娘達はあの時の水の精霊。私の姿や性格をコピーしちゃったのね。それで無詠唱で水の魔法が使えたんだ。でも、その中に本物の私が混じってたのは超ラッキー。私がみんなを指揮してケンちゃんを助けるのよ!
「いや『ポンコツ真由美』、あなたもコピーです」
ちょっと、私のどこがポンコツなのよっ?
「自分が本物だと思っている所とか」
私は本物よっ!
「さっきから独り言で本音が全部漏れてる所とか」
これはテレパシーよっ!
「テレパシーとか言っちゃう所とか」
それより何か方法はないの?『委員長真由美』!
「睡眠薬は肝臓で代謝されるほか、水分と共に排出されます」
ふむ、ふむ。
「私達は水の精霊なので、後者を促進するのは造作もない事」
それよ、それっ!早くやって!
「わかりました。腎機能加速!睡眠薬を膀胱へ移動!そして!」
ちょっ… ちょ待っ
「排出!」
「むにゃむにゃ… しー、しー、しー」
やっちまったーーーーーーーーーーー!
「どうしました?」クイッ
いやっ!これはないっ!高1にもなっておねっ… おねしょだなんてっ!
「落ち着いて合理的に考えて下さい。睡眠薬を水分と共に排出しただけです」
だったら汗とか涙とかあるでしょーが!
「あっ…」
こいつも私だったーーーーーーーーー!
「ま…まあそれも最初から検討してありましたが」
いま『あっ』つったよね? 『あっ』つったよね今?
「やれと言ったのは貴方ですし」
「私の匂いがする中でー、抱き合った方がー、ケンちゃんもー、燃えるかもー」
へんたいの『匂いフェチ真由美』は黙ってて! とにかく残りは汗で出すわよ!
「全ては計画通り。委員長として!発汗」
とほほ… 今さらカッコ良く言ってもねー。
「むにゃむにゃ… はっ! いま私寝てた? 全身汗だく? ケンちゃんが助けを求めてる!? 寝てる場合じゃない!」




