勇者ケントと秘密の部屋
コンコン
「空いてますよ」
ガチャ
么九が叩いたのは1号室の扉。道端で餓死寸前の所を女神の目に留まって救われ、5歳にして生涯の純潔を誓った大賢者。彼にとって女性である么九を6号室に寝させ自らは距離を置き便所前の1号室に陣取るのは余りにも当然の礼節である。
「おう大賢者、聞こえたか?」
「ええ。親父さんと3人娘、それと勇者ケントの寝息がハッキリと。どうやら7号室に入って行きましたね」
【 子猫亭伝説 その1 】 扉の向こうの寝息が聞こえる。
「面白い物が見られそうだ。オレの部屋に覗きに来ないか?」
「いいですね。行きましょう!」
「7号室側の壁にも節がいっぱいあってな。押せばポロッと取れて節穴からいくらでも覗けるぜ」
【 子猫亭伝説 その2 】 壁の穴から誰かが覗いている。
「私の右目には16k高画質録画機能と400インチ大画面投影機能があります。弟子の青春の記録を結婚式の披露宴で開陳するのは師の務め」
「そりゃ大パニック間違いなしだな! ケーッケッケッケ」
【 子猫亭伝説 その3 】 録画もされている。
「ケン坊、お・き・て。 毒消しLv1!」
「ん…」
「ケンちゃんおはよー!夜だけど! 毒消しLv2!」
「んん…」
「お父さーん。効かないよー?」
「コリャぶっかけ過ぎたかな。カティー、Lv3でやってみろ」
「キ…毒消し…Lv3!」
「はっ!」
「「「やったー!起きたー」」」
「お早う、ケン坊。ここがどこだか、わ・か・る?」
「ハイ!ハイハイ!リラ知ってるー! 7号室。特別室だよー!」
「あんたが答えてどうすんのさ!」
「あの…ケントにいちゃん… おはよ…」
ん…寝起きで何が何だかワカラナイ。俺は右手で頭を押さえようとした。
ジャラジャラ、ガシャン!
あれ?手が頭に届かない。右手首には黒い輪っかに… 鉄の鎖? 鎖の先はベッドの脚に繋がって…
ジャラジャラ、ガシャン!ガシャン!ガシャン!
ん?左手も?足も…???
いつの間にか俺はスーパーキングサイズのゴージャスなベッドの上で仰向けで大の字になって横たわっていた。両手両足はご丁寧に鎖でベッドの4本足に繋いである!
「あ、この鎖は気にしないで。そういう趣味の人のために用意したもんさ」
「どういう趣味!?」
「この部屋はねー、リラと、ローザやカティー、3人のスペシャルサービスが付いた特別室なの。ようこそ!ケンちゃん!」
「と… と言っても… 1泊100万Gで… 今まで誰も使った事はないんです…」
「お断り価格ってやつさー。ケン坊は栄えあるお客様、第1号ってワケ」
「元々は俺と女房の寝室だが、アイツが逝っちまってから使ってなくてよ。コイツらに好いた男が出来た時のために取っといたのさ」
「あー。いや?何言ってるかワカンナイんですけど?」
「俺は元からコイツら3人をちゃんと嫁にやるのが夢でな。コイツらが『お父さん、もう夜の営業はやめる』って言うんでよ、誰か好いたらしい男はおらんのか?って聞いたワケよ。そしたらな」
「あたいは… ケ… ケン坊がいいかなー なんて、ね、あは、あははは…」
「リラはケンちゃんと結婚したいでーす!」
「あの… 私は… ケントがお兄ちゃんになってくれて、いっつも傍にいてくれたらなー って…」
「というワケで3人ともお前が好きなんだそうだ。貰ってやってくれ!」
「ちょっ… とまっ… おやっ…」
「何もかもケン坊の言う通りさ。父親だってんなら娘の背を正しい方に押してやらんとな」
「正しくねーーーーーーーーーっ! 俺にはっ! 真由美という彼女がっ!」
「だが正式に結婚はしてないんだろ? じゃあ早い者勝ちだ。 みんなマユミより先に既成事実を作っちまえ」
「このローザさんに任せな!」
「リラ頑張る!」
「なぜお前らが答える! 俺の意見は?」
「あの… おにいちゃんと… そういう事は…」
「そう!そうそう!カティーは良い子っ!感心、感心!」
「いいか、カティー。主神と女房のヘーラーはな、実の姉弟なんだ。神様でも姉弟で結婚してるんだから、お兄ちゃんと血が繋がってないお前なら何一つ問題ない!」
問題あるわーーーーーーっ!
「ふわ… はい… ケントにいちゃん、カティーも頑張るね…」
「俺は下で寝てるから遠慮なくやってくれ。じゃっ!」
「何を? あっ、その人差し指と中指の間から親指を出すグーはどういう意味? つか出し入れすんなっ!」
ガチャ、バタン
「ケン坊、何か勘違いしてなーい? アタイら3人は奴隷で、親父に買い取られたんだ。その時の借金をケン坊が立て替えたって事は、ケン坊がアタイら3人を買ったんだぜ?」
「リラもローザもカティーも今日からケンちゃんの奴隷だね!」
「女奴隷を買った男が、その晩ヤる事なんて決まってるだろー? 観念しな、ケン坊!」
「いやっ!ヤられそうなのはコッチなんですけどっ!」
「ふっ… 不束者ですが… よろしくお願いします…」
「ちょっと待って!真由美ーーーーーーっ!」
「マユミはお薬で朝までグッスリよ! さあ、ヌギヌギしましょうね~」
「ちょっと待てリラ。最初は一番お姉さんのアタイからがスジだろ」
「カティーも… 最初がいいです…」
「しょうがねー。まずは3人で一緒に『いっせーのーせー』でめくるか」
だっ!誰かっ!そうだ!6号室には師匠が… あれ?6号室側の壁の穴に目が2つ… ガン見してる! 黒い瞳は師匠で、緑のオーラが出てるのは先生? なんか録画中のカメラみたいに赤いチッコイのが点滅してる!
「師匠!先生!助けて下さい!」
「・・・」
「・・・」
だーーーーーーーっ!使えねーーーーーーっ!




