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幼馴染のツンツンな委員長が、異世界では俺にデレデレなんです  作者: 松林ゆきひろ
【ハーレム絶対防衛戦】
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光の河

 師匠(ししょう)先生(せんせい)、2人が俺を見る目は、今までとは打って変わって厳しいものだった。この人達に嘘や誤魔化(ごまか)しは通じない。だから、俺は三頭犬(ケルベロス)とのバトルの帰りに(みんな)と話した事や、その時の気持ちを正直に話す事にしたんだ。



 山から下りる道で。俺達を険しい目で見ていた猟師達がポツポツ語り始めた。

(にい)ちゃん、見直したで」

「おう、最初は都会モン(ヅラ)ぁしたシルバーアクセのチャラ男と思っとったんじゃがのう」

「女房持ちの癖に村の娘に手を付けおって、山ん中で袋叩きにしようと追いかけて来たんじゃ」

 やっぱりそう思ってらっしゃったのねーーーーーー! 俺はあわてて話を変えた。

「リラ、さっきはゴメン、怒らせるような事言って」

親父(おやっ)さんの事?それなら怒ってないよ、リラ」

「それだけどさ、親父(おやっ)さんは(みんな)の事、『俺の娘だ』って言ってくれたんだからさ。一度きちんと呼んであげたらどうかな? 『おとうさん』って」

「・・・」

「それから今みたいな仕事は、やっぱりやめた方がいいと思う。3人ともさ、好きな人と手を繋いで歩いたり、買い物に行ったり、プレゼントをあげたり、貰ったり、2人で素敵な光景を見たり、それで… キ… キスしたり、今は、そんな事していい時期なんじゃないかな?」

「お金がないのさ、ケン坊」

 ローザが暗い声で言う

親父(おやっ)さんには借金があってね。アタイらが稼がなきゃならないのさ。何をやってでもね」

「それは…」

「ローザちゃん、アンタからじゃ話し(つら)かろう。それはワシらから話させてくれんか? 坊主(ぼんず)、お前さんがあの化け物を狩ってくれなんだら、ワシらは大変な事になっとった。お前さんはもう村の(モン)じゃ。知っとってもエエじゃろう」

 普段は無口な猟師のオッチャンが、訥々(とつとつ)と語り始めた。


 3人は別々の村から拉致されて奴隷になったこと。

 奴隷商人は特別美しい3人を、清い体のまま高値で売り(さば)こうとしたこと。

 議会のお偉い議長様が商人に賄賂を要求し、幼かったリラとカティーをかばってローザが身を捧げたこと。

 盗賊么九(ヤオチュ)が奴隷商人を襲って3人を親父(おやっ)さんに預けたこと。

 奴隷商人を庇護(ひご)している神殿の行列を么九(ヤオチュ)が襲って大神官(エリクトニウス)に捕縛され、冥王と戦う『勇者』にされたこと。

 議会は親父(おやっ)さんに3人を返却するか、買い取るよう要求したこと。

 親父(おやっ)さんは法外な額を懲罰的に突き付けられ、巨額の借金をして3人を買い取ったこと。

 怒った大神官(エリクトニウス)が議員達をタコ殴りにして出奔(しゅっぽん)したこと。

 ローザは親父(おやっ)さんに恩返ししたいと自分から今の仕事を買って出たこと…


「お金はさ、俺が稼いで何とかするよ」

「無理だよ。凄い借金なんだよ…」

「ローザの嬢ちゃん、今日の獲物を売れば相当な額になるぞい、お、丁度ワシの小屋じゃ。ちょっと待っとれ」

 猟師は小屋に入って、板を割るようなバキバキいう音や重い石を落とすようなゴトンという音を響かせていたが、しばらくするとズッシリと重そうな皮袋を手に出て来た。

「肉はワシらが買い取る。今まで蓄えた分じゃ、持ってけ。他に使い道もないから遠慮するな」

「おう、ワシらも後で持って行こう」

「村長や皮加工の組合(ギルド)にも声をかけんとのう」

「ワシらは嬢ちゃんが店を頑張るから来てくれと言うんで応援するつもりで行っとったんじゃ。じゃが『頑張る』じゃのうて『助けて』と言っても、良かったんじゃぞ」

 ローザは猟師達を見ながら口を両手で押さえて震えていた。

「助けて… 助けてください」

 小さな震える声でそう言ったローザは、くるりと振り返って俺の腕の中に飛び込み、わあわあ泣き始めた。猟師達が優しく声をかける。

「それでええ」

「お前さんら3人の事は、最初から村の娘じゃと思っとった」

 ローザはそのままいつまでも泣いていた。俺はうろたえて真由美の顔色を(うかが)った。でも真由美は『やれやれ、今日だけは見逃してあげる』って顔をしていた。

「もう少し早く村に着きたかったが、暗くなってきたのう。照明(ライティング)Lv3では足元が心許ないわい」

「私に任せて!」

 真由美はそう言うと山道の崖下、青く凍った川に向いて、ゆっくりと両手を上げた。

「みんな、お願い! 私達の行く先を照らして!」

 すると、凍り付いた川底にポゥ、ポゥと色とりどりの光が輝き始めた。キラキラ輝きながら踊っているのは無数の精霊(ニュンペー)か。彼女達が作った光の河は俺達の行く道を真昼のように照らし、(またた)く間に下流へと伸び、村へ、その向こうへ… 遥か彼方の海までが明るく輝いた。

「ほら、ね?」

 光に照らされ振り返って笑った真由美は、天使… いや、女神のようだった。

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