真由美の戦い
ノリッノリのノリッノリのノリッノリで書いてみました!
私は、あの時に決めたの。絶対にケンちゃんの足手まといにならないって。
自分の身は自分で守れなきゃ、ケンちゃんが怖い目にあうから。
ケンちゃんと同じ学校に通うために、ケンちゃんの倍勉強しなきゃ。それで同じ学校を受験して、絶対に合格するの。だって私のために志望校を落としてもらうなんて出来ないよ。私の方が落とすのはいいの。
今までずっとそうして来た。
だけどまた。いま私はつかまって、私のせいでケンちゃんが酷い目に遭ってる。いくら怒っても、火をかけても、こいつはひくともしない。逆に、とんどん熱くなって強く固く締め付ける。力が出ない。悲しくなって目をぎゅっと瞑る。もう何も出来ないまま死んじゃうのかな…
その時、私の耳元で誰かが囁いた。ちいさなちいさな声で。
「あのこだれ」
目を開けると、そこには青く透き通ったちいさな女の子が踊っていた。
別の声もする。
「かっこいいね」
声の方には少し翠がかった青の、ガラス細工みたいな子。
「かわいいね」
今度は氷のお人形さん。
「つれてこうか」
「だめだよ」
「だしてくれた」
「おれいしよう」
「たすけよう」
声はどんどん増えていく。辺りを見渡すと谷いっぱいに小さな光。感じる。この子達は川や水の精霊。
うす翠がかった青の子は、川の精霊。きっと最初からいたけど私達には見えてなかった。青いのはケンちゃんが山に開けた穴から出てきた、水の精霊。白いのは洞窟の氷の精霊。
踊ってる子、歌ってる子、まだ寝てる子、目をこすってる子。感じる。この子達は私と同じ。ケンちゃんが好き。
「あの男の子は、ケンちゃん」
「ケンちゃん」「ケンちゃん」「ケンちゃん」「ケンちゃん」
「みんな、ケンちゃんが好き?」
「「好き」」 「「好き」」 「大好き」
「たすけてあげる?」
「「「「「「たすけたげる」」」」」」
私と精霊たちの声が合わさった。
「「「「「「 みんな 」」」」」」
「「「「「「 きて! 」」」」」」
「「「「「「 みんなで 」」」」」」
「「「「「「 こいつを 」」」」」」
「「「「「「やっつける!」」」」」」
3つの首が炎を吹いた瞬間、山肌から更に多くの青龍が飛び出し三頭犬を取り巻き、立ちはだかった。炎は膨大な水に阻まれ消え去る。ここは水の精霊の支配地。炎なんてものの役に立たない!
私は右手の中にイメージした。怒りの炎?違う。青い龍?違う。それじゃ駄目。魔力をはらんだ毛皮をも貫く、もっと、もっと、もっと、もっと強いイメージ。細く、長く、固く、鋭い、氷の刃!
私の手の中に水達が集まって、どんどん凍り付く。まだ足りない。もっと、もっと、もっと長く、もっと固く、もっと鋭く!
そして私は、氷の槍を握って三頭犬の首に突き立てた。氷の槍はたちまち伸び、喉笛を貫いた。もっと、もっと、もっと、もっと強いイメージ。
ケンちゃんならともかく、お前が、お前らなんかが、私を喰おうだなんて許せない!私がこいつらを罰する!
こいつらを罰する、もっと、もっと、もっと、もっと強いイメージ!
青龍が空に駆け上り、私のイメージに従い凍り付く。次々と、次々と、次々と!
川を挟む2本の巨大な柱!大きな四角い台!こいつらの首を押さえる巨大な枷!そして!上空に!巨大な氷の刃!
私はその刃を、一気に叩き落とした!
「堕ちろ!地獄に!『地獄の断頭台!』」
(イラスト:着道楽さん)




