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あの日の思い出
「ひゃあっ」
その日も、いつものようにケンちゃんと手を繋いで歩いてた。
そしたら後ろから放し飼いの大きな犬が吠えて来て。
私は思わず、ケンちゃんの両肩をガッシリつかんで盾みたいに犬の方に突き出しちゃった。
だって、怖かったんだもん。
ケンちゃんも怖かったと思う。ゴメンね。
でも、ケンちゃんは何も言わず、グッと胸を張って、怖い犬を睨み付けてた。
3分か、5分か、どのくらいそうしてたのか覚えてないけど。
ソイツは『チッ、今回は見逃してやる』って顔で、後ろを振り返りながらゆっくりと歩いて帰ってった。
でも、尻尾はこう、足の間にくるりと丸まってた。
そのあと、ケンちゃんはニッコリ笑って手を差し出して言ったの。
「さあ、行こう」
って。
だから私は信じてる。
ケンちゃんは、必ず私を助けてくれる。いつだって、どこだって。




