表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染のツンツンな委員長が、異世界では俺にデレデレなんです  作者: 松林ゆきひろ
【ハーレム絶対防衛戦】
20/864

最大戦力 VS 最大戦力

 何も見えない。

 俺の指から迸った5本の閃光は、淵の水を底まで切り裂き天空へと吹き上げた。その巨大な水の壁が視界を遮ったんだ。


 一瞬の後、冷たい水が空から滝のように降り注いだ。みんなは無事か?いた!真由美、ローザ、カティー! 転びそうになりながらこっちに走ってくる。そして俺の足下にリラ。全員無事だ!


 双頭犬(オルトロス)は全て倒れた。勝った! ほっとして真由美に声を掛けようと視線を戻し、俺は異変に気付いた。真由美の後ろから音もなく伸びた黒く針金のように太い毛が、蛇のようにうねうねと(うごめ)き彼女に絡み付く。


 長いたてがみで彼女を(から)め取り、自らの首の上まで空中高く掲げながら、俺が作った滝のような水の壁から姿を現したのは。体高4メートルはあろう巨大な漆黒の三頭犬(ケルベロス)だった。


挿絵(By みてみん)

(イラスト:着道楽さん)



 そう言えば大賢者(エリクト)が言っていた。

『しかし妙ですね双頭犬(オルトロス)は本来もっと巨大な漆黒の魔獣。お2人が出会ったのは恐らく雑種です。双頭犬(オルトロス)が大型の山犬と(つが)って子をなしているのでしょう』

 ほぼ当たり。だけどコイツは予想より数段上だ。一体どこに隠れていた?



 俺達を傲然(ごうぜん)見下(みお)ろす魔獣。その視線を浴びると俺の影に隠れた3人はガタガタと震えだした。1番幼いカティーは温かい湯気をあげて漏らしている。当たり前だ。コイツは俺達を喰おうとしているんだ!


 その時、俺のすぐ耳元に誰かが小さな声で話しかけた。1人ではなく、大勢の、ちいさなちいさな声が。

「ここはあぶないよ」

「はやくにげて」

「みずがくるよ」

「うえにいって」

「もうささえられない」と。


 水が、危ない? この化け物より危ない物がどこにある? だが最後の声に呼応し、俺が拳を振るった先にある、沢を挟む切り立った山肌がビキビキと耳障りな音を発し始めた。


 対岸の断崖絶壁に俺が刻んだ5つの巨大な爪痕が内圧に耐え切れず、ひび割れ、広がり、そこかしこから水が噴出している。


 そうだった。この川の青い水は巨大な山脈を成す石灰岩に穿(うが)たれた鍾乳洞(しょうにゅうどう)を水源とする。俺の爪は、この(とが)った山脈を流れる地底の川、そのそこかしこに散在する巨大な地底湖にまで貫通していたのだ!


「みんな落ち着いて。こいつから目を離さずゆっくり後ろに下がれ。岩肌に着いたら上に駆け上がるんだ」

 だが、足がすくんだのか誰も動こうとしない。

「ローザは一番お姉さんだろ? 2人を連れて逃げて」

「みんな、行くよ!」

 お姉さんと言われ我に返ったローザが言った。やはり1番のしっかり者だ。

「でもケン坊はどうするのさ?」


「俺は、コイツを・・・ 潰す!!!」


 犬は逃げる者を追って噛む習性がある。俺は胸を反らし、三頭犬(ケルベロス)()め付けて念じた。俺は強い!貴様より強い!俺と戦えば、死ぬのは貴様だ!

 三頭犬(ケルベロス)は俺の実力を測るかのようにじっと動かない。やがて3人が岩盤の斜面を登りきった時。小さな声が叫んだ。

「もうだめ!」


 その時、轟音(ごうおん)と共に、山肌に刻まれた爪痕を内側から吹き飛ばし、車より大きい純白の岩塊を数え切れないほど含んだ青い奔流が、俺と魔獣を押し包んだ。その直前、俺達は、その音を皮切り(ゴング)に互いに向けて突進していた!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ