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幼馴染のツンツンな委員長が、異世界では俺にデレデレなんです  作者: 松林ゆきひろ
女の子の部屋に誘われるって最高だよね
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二人、それぞれの夜

 ふう…今日は大変な一日だった。

 おじさんの()れた…今日はグァテマラだって言ってたっけ?コーヒーをブラックで飲み、今度は真由美がいつも使ってる参考書を読み込んで。


 お昼には清水のおばさんが張り切って作ったすき焼きをみんなで突っ付きながら…

『よーし。これで今日の勉強は終わりだな!』

 あの後何回かやってみてわかったんだけど時間停止は呪文を唱えなければ発動しないワケでもないらしい。何より重要なのは時間が止まればいいな〜っていう俺の願い。その切実さ。

 呪文の方は、だんだん短縮して声も小さくして行った結果、最後は口を閉じたまま鼻から息を抜きながら『止まれ』と声にならない声でつぶやいた(つもりになった)だけで発動できるようになった。

 それで教科書と同じ手を使って参考書もメデタくクリアー。もうこれで教わる事は何もない!免許皆伝!


『なに言ってるのよ〜、昼からは問題集をミッチリやり込んで貰いますからね』

『げっ!で、でもさ〜。教科書を丸暗記したら、もうやる事なくない?』

『あのね、数学の定理や公式を百個丸暗記しても、どれを使うかわからないと問題は解けないのよ?』

『そうたけどさ…』

『問題を見た瞬間、解き方がパッと浮かぶようになるまでは問題集あるのみ!ここからが本番よ』

『でも問題集って答え書いて赤ペンで○☓つけたら使えなくなるだろ?真由美のは使い回せないからさ〜。今度自分で買うよ』

『私のは消えるペン使ってるから』

『うっ!でも跡が残ってヒントになるし…消すの手間だし』

『ふっふ〜ん。はい、コレ』

 このキレイな紙に包まれて可愛いリボンのかかったモノは…?

『なにコレ?』

『遅くなったけど誕生日のプレゼント♡開けて見て』

 何だか嫌な予感がするぞ。開けなくてもわかったような気がするが俺は言われるままにリボンをほどき包を開けた。

『はーい真由美オススメ高1用問題集全教科セット。お年玉はたいたんだから頑張ってやってね♡』


 鬼!悪魔!真由美!


『真由美、張り切り過ぎじゃない?困ってるわよケンちゃん』

『でもね賢人君。真由美はキミの事が本当に好きなんだ。大変だろうけど、もう少し付き合ってやってくれないか?』

『もー、お父さん!そんなんじゃないんだからね!』

『わかりました。やります!』

 2年で真由美と同じクラスになるためだ、仕方ない。俺が好きになった()はクソ真面目(まじめ)一辺倒(いっぺんとう)の委員長。だからもう、これは俺の宿命なんだ!


 ってワケで午後からは問題集をやり込んだ。本当に勉強ばかりの1日だったな。あー疲れた。眠い。もうゲームやる元気もないわー。でもそんな時にコレ!寝ながらやれるイチャラブ恋愛ファンタジーカートバトルゲーム『いちゃラブ♡おりゅんぽす』!

 今夜は夢の中でゲームキャラの真由美とイチャイチャし、明日は本物の真由美と七夕祭り!そしてアフロディーテさんの恋占いで否応なく盛り上がる二人!明日は真由美と本物のカップルに、俺は、なる!

 さあ、明日のために今日はもう寝よう。お休み、真由美。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おやすみなさーい」

「おやすみなさい」

「お休み、真由美」

 夕食とシャワーを手早く済ませ、お父さんとお母さんにお休みの挨拶をして、私は小走りで階段を駆け上がった。ケンちゃんが一日中勉強をした後、窓と(ふすま)をしっかり閉じておいた私の部屋へ。ウキウキとワクワクはどうしても止められない。

 襖を開けると汗の匂いの混じったむせるような男臭い空気がむわっと顔を叩く。大変!大事(だいじ)な匂いが逃げちゃう!

 慌てて部屋に入り後ろ手で襖を閉める。

「スー、ハー、スー、ハー、スーーーハーーー」

 いい匂い!ケンちゃんの匂いが私の部屋一杯に充満してる!誘って良かったーーー!


 そう。ケンちゃんを勉強に誘ったのはあくまで口実。実のところ私の成績がケンちゃんより上である限り、ケンちゃんの成績がどれだけ下がっても同じ進路に進む事は難しくない。別にケンちゃんの成績を上げる必要なんて微塵もないのよ。

 本当の目的はコレ!ああ!ケンちゃんの匂いに包まれて眠るなんて何年ぶり?夢みたい!

「スー、ハー、スー、ハー、スー、ハー、はっ!こうしちゃいられない!」


 口実とはいえ今日のケンちゃんの勉強っぷりにはビックリ。本当に教科書を全部おぼえちゃうなんて。ケンちゃんやれば出来る子だと思ってたのよ〜。私のケンちゃんが来生君なんかに負けるわけがないんだから。こうしちゃいられないわ。今日1日ケンちゃんを見ていて自分の勉強が出来てない。絶対にケンちゃんよりいい成績を取るのよ。ケンちゃんを追い続けるために!頑張れ真由美!


 机に向かって…あっ、ケンちゃんの部屋の明かりが消えた。もう寝ちゃうの?いつもみたいにカーテンを開けてコッチをみて。届け私のテレパシー。えいっ!

 はっ!駄目駄目駄目勉強しなきゃ。落ち着け真由美。深呼吸。はーー。はー。はー。ケンちゃん好きケンちゃん好きケンちゃん好き。駄目!雑念が消えない!そういう時はコレ!漢字ノートに書き取り!


無念無想(むーねんむーそー)無念無想(むーねんむーそー)無念無想(むーねんむーそー)無念無想(むーねんむーそー)

賢人好き(ケンちゃんすーきー)賢人好き(ケンちゃんすーきー)賢人好き(ケンちゃんすーきー)賢人好き(ケンちゃんすーきー)


 あ〜っ!ケンちゃんが好き!大好き!好き過ぎて苦しいっ!はー、はー、はー。もう無理。仕方ない…今日はもう寝よう。そうだ!


 タンスの引き出し。その3段目を引いて開けると胸のすく香りがふわっと立って、そこには色とりどりの愛らしいパンツたち。今夜はどの子に包まれて寝ようかなー。

 そうだ!キミに決めた!この薄くてひらひらした一番カワイイ子にしよう。今夜はぐっすり眠れそう。そして…明日は待ちに待ったデート!楽しみー。早く明日になるといーなー。おやすみケンちゃん。また明日〜。

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