ドキドキワクテカの勉強会 6
「よし!全部読んだー!」
「ちょっとケンちゃん!全然読んでないじゃない」
「え?ちゃんと読んだけど?」
「だって今、全部ペラペラペラーってめくっただけよね?」
え?いや?あれ?はっ、そうか!俺が真面目に教科書を全部読み込んでる間、真由美の時間はたった1、2秒しか経っていないんだ。真由美目線で見ると、俺は超高速で教科書をペラペラめくったようにしか見えないんだ。
「そうか、真由美は知らなかったな。俺は最近、超速読法を身に付けたんだ。この程度なら1秒あれば充分さ」
「じゃあ全部覚えたの?」
「うっ。いや?読むのと覚えるのは別の話だよね?」
「読んだけど何も覚えてませんじゃあ、読んでないのと同じよね?」
出た!真由美お得意の正論で殴りに来るスタイル。いわゆる論理的嫌がらせ略してロジハラ。
噂によると中学の生徒会時代、予算交渉に来た女子陸上部の後輩はコテンパンに言い負かされて泣きながら走って部室に逃げ帰ったらしい。
今の真由美は我楽多堂古書店で暗くなるまで俺と無心に遊んだ懐かしいあの頃の真由美とは、別人のド高目女。腹が立つからと泣いて逃げ帰ったり暴言や暴力に走れば真由美との関係はそこまで。真由美は俺と別れて東大に進学しキャリア官僚とか社長秘書になり、この豊かなおっぱいも、くびれた腰も、大き過ぎないが丸く弾力的な尻も、もちろんその間のアソコも!俺の手からスルリと逃げて誰か別の男の物になる。そんなのは有り得ない!
暴走する車の前に命すら投げ出して今再びここに辿り着いたんだ。俺は真由美の全てを手に入れる。そのためには実力で真由美に俺を尊敬させ、愛させる。どんな手を使ってもだ!
「嘘だと思うならドコからでも問題を出してみれば?」
俺の挑発に真由美は数学Iの教科書を手に取ってこう言った
「よ〜し、じゃあ数学から第一問!正弦定理の公式を答えなさい」
いやっべー、全然覚えてないわー。




