クエスト終了!
「そお〜れっ!」
「うわーっ」
「これで同点だね」
「はーいタッチー」
「イエーイ!」
ハイタッチをするローザとアレキ。初めて会った時はいがみあってた2人だけど、ビーチバレーで組ませてみたのは正解だった。息を合わせて俺と真由美のチーム相手に一進一退、いい勝負だ。
「よーしアレキ動くなよ〜コレでも食らえ!」
ズパーン
「おいコラ本当に顔面に食らうなよ〜負けっちまったじゃねーか」
「はーいタッチー」
「これで勇者ケントの通算31勝です」
アレキお付きのスケさんが例によってカウントする。見た目ザビエルで裸に黒の海パンは反則だろう。
「姫、これを」
カクさんがスポーツドリンクを差し出す。2人とも髪の色と合わせたのか金色の海パン。これも反則だ。
“ケンちゃーん!クラーケン来たよー”
クラーケンがまた、赤珊瑚を採取しているポンコツ真由美達の邪魔をしている。と言ってもあの晩、水の女神を倒してからめっきりエンカウントしなくなり、今では1日数回しか現れない。経験値やトパーズの身入りは一回分が大きいけど回数は目に見えて減って来た。
「ちょっと待てアレキ」
食い終わったイカの串をクズ籠から拾って投げようとするアレキを俺はあわてて止めた。
アレキの『なんでもアロー』。イカ串でもタコ焼きの爪楊枝でも、とにかく投げれば単なる通常攻撃が10000%当たりHPを10000%削る大技になるスキル。100%以上いくらあっても意味ないじゃんと思ったけど、効果を下げるデバフスキルやデバフアイテムへの耐性がソレだけある、という事らしい。
雨の日のために用意していたテントのポールを投げただけで水の女神を一撃で撃破したコレだが、アレキの攻撃の中では最弱レベル。必殺技なんか地球壊滅レベルのがズラリで使いドコロがない。不思議な事に溜めや各種消費値の多い高レベル必殺技ほど威力が落ちて使いやすくなっているという謎設定。
「アレキは手加減出来ないだろ。俺と真由美でやる」
俺が神殺しの紫光の剣で触腕を捌き、真由美が高位の雷撃呪文を詠唱する。もう手慣れたもんだ。もうそろそろだな。
「今だみんな!ジャンプ!」
打ち合わせ通り分身のクジラ真由美・シャチ真由美・イルカ真由美がジャンプ。真由美の雷撃に海水が白く光る。これでダメージはクラーケンだけに…
「オ・・オオ・・・」
「今までと反応が違うぞ。みんな警戒を解くな!」
俺の指揮と同時に、巨大な美少女型クラーケンはワンピースの裾をガバッとたくし上げた。ヘソのあるハズの場所にチューブのような物が突き出ている。それがコッチを向いて…
ぶばーーーーーっ
チューブから真っ黒な何かが吹き出した、と思ったら世界の全てが漆黒に染まった。
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「クラーケン様はね、負けを認めたらイカスミを吐いて逃げて行くのさ」
「ソレ先に言っといてくれよアクティー」
「あはは、ゴメンゴメン」
「水切れたよー」
「じゃあソコの穴に銀貨入れなー」
ここは浜から少し離れたシャワールーム。と言ってもファンタジーな異世界に水道などあるハズもない。仮設トイレみたいな天井のない箱の上に底に小さな穴がイッパイ空いたバケツが吊るしてあり、壁に空いた穴に銀貨を入れるとアクティーが梯子を登ってバケツに水を注ぎ足すシステム。
「ボッタクリだよなー」
「真水は貴重だし水汲みは力仕事なんだ。文句あるなら自分で汲みなー」
「へいへい、わかりやしたー」
俺は少しでも節約するため、真由美と2人でシャワールームに入ったんだけど銀貨1枚ではいくらも洗えない。いくらかかるやらトホホ…
「あーあー、パンツの中まで真っ黒だよ」
「どれどれーホントだー。私が洗ってあげるー」
「あうっ!つかまないで真由美!」
イカスミがローションみたい。にゅるにゅるでヤバい!
「ほんとに真っ黒だなー」
「上から覗くなよアクティー!」
「あーん私のおっぱいも真っ黒ー。ケンちゃん洗ってー」
「手ぇ引っ張るなよ真由美。あっ、にゅるにゅるだ…うっ、鼻血が…」
「だけどさ…これでケント達のクエストは終了だね」
「え?そうなの?」
「クラーケン様は来年までもう浜に来ないよ」
アクティーは何だか寂しそうに呟いた。




