彼女の手作り弁当って最高だよね!
キーン コーン カーン コーン・・・
待ちに待った昼休み。なんたって今日も真由美と昼飯だからな。苦節3年と3か月… ついにつかんだ真由美と2人バラ色の学園生活! くうーっ、毎日学校に来るのが楽しくて仕方ない!
「山田なに拳握ってプルプルしてるのー。ハイ机寄せてー」
「うっへーよ、さくら。真由美はやくー、こっちこっちー」
真由美はカバンから弁当を出すのに少しもたついてる。あれ?いつものより少し大きいな。
「ごめーん、今行くねー」
いつも真由美は小さい弁当1つで済ませるんだけど、今日は珍しく2段の弁当箱を持って来てるな。
「たまにはお母さんの手伝いをしようと思って、今日は私が作って来たの。ケンちゃ…じゃなくて山田くん。作り過ぎちゃったから一緒に食べて」
真由美は俺の右の机に弁当の包を乗せて机を寄せた。
「真由美の手作り?一緒に食べて?」
くうーっ、コレだよコレ!最高!俺はみんなを見回して感動に打ち震えた。
言うまでもなく。漫画研究会の5名のメンバー構成には重大な問題があった。男子3名・女子2名ではどうしても男が1人余るのだ。そしてさくらは来生の許婚者、つまり売約済み。飯田さんは優介の幼馴染、これまた売約済み。要するに… 売れ残りの余り物とはズバリこの俺だったのだ!
学園の恥部と言われる漫研だが、そんなのドーでもいい。コイツらは好きな女子といちゃラブ学園生活を送るリア充。事実上、学園内でダブルデート状態!そのカップル2組に挟まれた俺は何だ?
サンドイッチ?いや違う。あれは挟まれた具に価値がある。刺身のツマ?あれは口直しにタマには食って貰えるじゃないか。俺の立ち位置はズバリ人造バラン!弁当に入ってる緑色でペラペラの仕切り!アレ!
おかず→白ご飯→おかず→白ご飯… それを何度繰り返しても人造バランを食う奴はいない。人造バランのターンは永久に来ないんだ!畜生!リア充もげろ!爆発しろーーーっ!
「えーっ、席替え?じゃあ私ずーっと山田くんの正面だったから、今度は横にするね。私のお弁当も手作りだし」
「じゃあ部長である私が真ん中に座るわね」
「僕は飯田さんの向かいがいいな」
「僕はさくらの隣に… 賢人、いつまで拳を握り締めて泣いてるんだい?」
「済まない嫌な記憶がフラッシュバックして。涙?ああコレ半分は感動の涙さ」
みんなが俺の意見も聞かず机を寄せて我先に思い思いの席に着く。我に返った俺が自分の椅子に座ると席はこうなっていた。
|優 介|さくら|来 生|
|飯 田| 俺 |真由美|
ちなみに入学以来3か月間ずーっと、こうである。
|飯 田|優 介| 来| |真由美|
| 俺 |さくら| 生|
この距離感!ナニコレ?もはや俺と真由美を遠ざけようとする運命の悪意さえ感じる!まあソレは気のせいだろうけど。これが、こう!
|優 介|さくら|来 生|
|飯 田| 俺 |真由美|
ちゃんとカップル3組で校内いちゃラブデート!くはーっ!最高!!!
「ケンちゃん、煮込みハンバーグ好きだったよね。はい、あーん」
おおっ、真由美の煮込みハンバーグ!
「私はエビフライ。食べ損ねたって言ってたから」
「ウチの東坡肉が一番に決まってるじゃない」
「もががもがががもががががががんがー」
「ところで合宿で描く漫画だけど、下書きは進んでるのかい?さくら」
「そーだよ部長のペン入れが終わらないと僕達は墨入れも色塗りもできないんだから」
「バイト代出ないし私はどうでもいいかなー」
「もーもがが もんがまんががんが」
「あんまり変な内容だと許可できないわよ。委員長として!」
「ご心配なく、今回は一般向けよ。前回売れ残ったから今回は完売を目指して一般受けを狙ってみたわ」
「ならいいけど」
「いや、清水さんの思ってる一般向けと、さくらの言う『一般向け』は意味が違うんじゃないかな」
「BLはBLでも…」
「さくらちゃん推しのカップリングはコア過ぎるもんね」
「シリーズ物でプロットは既に完成してるわ。結構ツボってノリノリで描いたから今回のコミケに出品する一冊目のペン入れは完了。2冊目3冊目の下書きも出来て今ペン入れ中よ。コレを見て」
「ぶふぉ」
鼻水出た。部長が取り出したタブレットに映し出された漫画。それは㌧でもない内容だった!




