今度こそ!夏だ!水着だ!おいかけっこだ! 6
「勇者ケント、クラーケンを殺してはいけません」眼鏡クイッ
“依頼は『殺さずに追い返せ』なんだからね”
「おおっ、いたのか委員長真由美にポンコツ真由美」
“オリジナル真由美よムキー! って… え? あれ? みんなが小さくなってる!”
「違う! あなた大きくなったのよ」
「ホントだ!小学生くらいになってる」
“はい? いや? はっ!おっぱいが! 大きくなったー!”
そこか。確かに身長10センチ3頭身の時には『ちゅるぺた』だった胸が、カティーより少し小さいくらいに成長した今、かすかにAカップくらいになった…気がする!
“うれしーよーぅぉぅぉぅぉぅぉぅ”
泣くほど嬉しいのか… 良かったな。って言うか
「触手はえてないか?」
“あ! ホントだ! どゆことー!!!”
「勇者ケント、先程倒したクラーケンからドロップした精霊達の中に、一匹イカ真由美が混じっていた事に気付きませんでしたか?」
「わかるかそんなん!」
「通常のモンスターが精霊を吸収すると巨大モンスターになります。吸収された精霊は暗い牢に閉じ込められたようなもの。モンスターを倒して助け出した人に愛く。その中の一部は稀にモンスターの形質や能力をコピーしてモンスター化している。入手した味方モンスターはデッキに配置できます。しかも精霊はモンスターに上乗せ配置できるんです」眼鏡クイッ
「なるほどわからん!」
「つまり前衛左翼にはRクラーケンLv1が配置され、その上にポンコツ真由美が乗っかって操縦している状態です!」眼鏡キラーン
「それならわかるぜ!」
「それより前を見て! クラーケンLv5です」眼鏡フキフキ
「どうやって殺さずに追い返すの?」
「本体真由美。相手は水属性、水の精霊魔法は吸収される。海上には火の精霊が少ない。しかし風は海上にも吹き荒ぶ。貴方は火と風なら最初から操れる力がある。風の精霊を使って下さい」眼鏡スチャッ
「風? 台風? 吹き飛ばすの? イメージがわかない…」
「風は嵐を生み、嵐は雷を呼ぶ。雷は風の領分! 雷撃なら拡散し複数目標に気絶する程度の攻撃が可能!」眼鏡キラーン
「やってみる! ケンちゃん! 私、風の精霊持ってないけど呪文で集めるから! 唱えてる間、前衛で押さえて! ローザ、リラ、カティーは陸に上がって出来るだけ遠くに!」
「わかった! さあ行くよ、リラ、カティー」
「ケンちゃん、死んじゃ駄目だよ」
「き… 気を付けて…」
「わーはっは、勇者の証があるから大丈夫! さあ真由美、俺の後ろに。物理打撃無効の範囲から出るなよ!」
俺がそう言った時には、真由美は既にトランス状態で超古代ギリシャ語の呪文の詠唱を始めていた。先生によると、この世界で使われている古代ギリシャ語より古いミケーネ語らしい。
「真由美は俺が守る!」
要は絶対防御の球形フィールドごと飛ばされないように、一番長い2本の触手だけ捌けばいいんだ。詠唱が終わるまでな!
イカ下足の遠隔攻撃をシャイニングクローで少しずつ削る。一気にやって突っ込んで来たら元も子もない。そうしているうちに青空の下にゴロゴロと雷鳴が鳴り始めた。魔法の力には天候も場所も関係ない。おそらく魔法の雷は地下ダンジョンの最深部ですら落ちるだろう。
やがて真由美の呪文詠唱が終わった。ついに来る!
「食らえ! 裁きの雷!雷撃破!」
真由美の叫びと同時に、轟く雷鳴とともに無数の雷撃が落ちた。海面が青白い光を放ち飛沫を立てる。そして、電気の導体である海水はその上に立つ風の精霊の加護を持たない全ての者、数十体のクラーケンと俺をまとめて気絶させたのだった。
意識を失う寸前、倒れる俺を優しい腕と柔らかいおっぱいが支えてくれたのがわかった。ああ… 幸せ…




