4話
そこはなんと言うか、ボロかった。
石造りの神殿っぽいボロい何かだ。
かつては畏敬を抱かせたであろう彫刻達はくすみヒビ割れ、神聖さをポイして不気味さをかもしだしている。
夜になれば心霊スポットとして自動黒歴史製造機達が屯してそうな、そんな場所だった。
そんな心霊、もとい神殿スポット、いや神殿なのであろう内部へ、ヒューは入っていった。
「どうぞ、いらして下さい」
低めの、しかし良く通る声でこんな所に誘われると、少しだけドキドキしてしまう。
何時もなら「こんな所でわたしに何するつもり(ry」など騒ぎたくなる展開だが、流石にそんな場合じゃない。
変な事を考えたおかげか、少し落ち着いてきた。
やはり変は心を救う。私も誰かを救えるように変態でありたい。
そんな事を考えながら、神殿へと入った。
神殿の中は思ったより綺麗、というより伽藍としていた。
ヒューが机や椅子を用意しながら、どうぞ、というので座る。
座り、先程までの事を思い返す。
ヒューが持ってきてくれた白湯を飲みながら、頭の中で反芻するが、いやこれ、何だほんと。
ヒューは話を急かす事も無く、白湯を飲んでいる。
正直有難い。
何て話せばいいのだろうか。
あるがままに?ぼかして?
どれもコレもリスクが高すぎる。
もしかしなくても、コレはアレだと思うからだ。
異世界転移。そう、異世界転移だ。