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私 鬼の子

作者: MOILAT

 子供の頃あんなに好きだったテレビをいつしか見なくなった。

 小顔で羨ましいと言われると人の気も知らないでと怒りが湧くようになった。

 自分勝手に振る舞う家族に気を遣って1人で泣くのが習慣になった。


 『私 鬼の子』


 物心ついた時、自分の顔が小さいのは両親のどちらかに似ているんだろうと思ってた。

 でも、私を見て、私の両親を見た人は皆口を揃えてこう聞いてきた。

 「あなた誰に似たの?」って。


 いつしか姉も言ってくるようになり成長するにつれて自分の両親の顔は標準的、父にいたってはやや大きいと気づいた。

 成人しても子供サイズのマスクを普通につけられる自分。帽子を被れば更に小顔が際立つため最初のバイト先を辞めた。

 

 小学生の時父の実の母ー私の祖母に当たる人が言った。

「お祖母ちゃんの言うこと聞けないなら売春しなさい」って。

 別にその時罪を犯そうとしてたわけじゃない。ただ書き取りの宿題をしていて書き順通りに書かずに指摘されて無視しただけだ。

 本当にこの人が私の実の祖母なら孫にこんなヒドイ言葉が言えるだろうか。

 次第に自分は鬼の子なんじゃないかと疑いが膨らむ。

 本当は父親が違うんじゃないか、いつか本当の父親が迎えに来てくれるんじゃないか。


 そんな疑いは晴れる事なく私は進学先を家族の都合に合わせた。

 本当は声優になりたかったから上京して昼間の専門学校に通いたかった。でも公務員になると言って昼間の専門学校に通っていた姉は公務員試験当日遅刻して受験できず、学校に内緒でバイトしてた弟はアイドルの追っかけに貯金を崩して収入の倍使ってばかり。

私の後には弟の進学が控えている。私まで親に負担をかけるような進学はできない。私まで上京して親に惨めな生活させていいの?自分のワガママで親に辛い思いさせていいの?そんな考えから近場の夜間に通う。

 でも、後になってぼったくられた。


 高校の時先輩が弟さんに血の繋がりは大事だけど相手を大切に思う心の繋がりはもっと大事なんじゃないかと諭してたけどそれはお互いがの話でしょ?こんな一方的に相手を思って報われないなんてこんな家族一緒にいる意味あるの?


 1人で泣いてる時いつも願う。

ー誰か家族を殺してよー

 

 3番目のバイトは希望すれば寮に入れる所を選んだ。これで家族と縁が切れる。

 でも結局私は仕事より家族を選んだ。


 恐いんだ孤独になるのが。

 いくら利用されても愛しているんだこの家族を。

 育ててもらったから。

 積み重ねた時間があるから。


 私の外見が

   能力が

     家族の誰とも似てなくても。


  鬼の子でも愛してもらったと思いたいから。

 

 育ててくれてありがとう

 愛してくれてありがとう

 一緒にいてくれてありがとう


 怨んでごめんなさい

 無いものねだりしてごめんなさい


 こんな私でも家族あなたたちを愛しています。


 まだまだ私と一緒にいてください。時には八つ当たりしてしまうけど時には自分の都合を優先してしまうけど

    精一杯恩返しします。



              綾音より





             ー完ー

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