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「うわぁ〜!!」
「きゃ〜っ!!」
俺と詠美さんは今、野生動物に追われている
追ってくるのはボフボフと言う中型のイノシシに似た動物である
どうやら俺たちは薬草取りに夢中になってしまいうっかり短いしっぽを踏んでしまったらしい
「え、詠美さん!
何か魔法ないの!?」
「こんな走りながら唱えれる魔法なんてありませ〜ん!!」
なんてこった
これは俺が身体を張らないとダメなとこだな
意を決して鎌を握りボフボフと対峙した
「詠美さんは逃げて!!」
「え?
拓さん何をする気ですか!?」
詠美さんは少し進んだ所で立ち止まってしまう
「立ち止まるな!
逃げて!!」
ボフボフに注意しながら叫ぶが、そこにボフボフが体当たりしてきた
「ぐっ!!」
俺はボフボフが詠美さんの方に行かないように何とか抑え込もうとする
(こいつの力、凄い強い)
「拓さん!!」
詠美さんはオロオロしてる
(どうにかこいつを気絶なりなんなり出来たらいいのだが...)
俺もあまり力の強い方では無いので少しづつボフボフに押されてきた
「くそ〜!!」
俺は無我夢中で鎌をボフボフの背中に突き刺した
ボフ〜〜!!!!
ボフボフは大きい声で鳴きさらに暴れ出した
(もうダメだ...)
痛みに暴れまわるボフボフを抑え込む事に失敗してしまい、俺の手からボフボフが離れてしまう
そして、詠美さんに向かって突進していった
「きゃ〜〜〜!!」
詠美さんは突然の事に逃げる事が出来ずに転んでしまう
その時、森の中から何かが飛んできてボフボフに当たった
当たった衝撃でボフボフは横に吹っ飛び木にぶつかってそのまま動かなくなった
(は?
何が起こったんだ?)
詠美さんも何が起こったのか分からずキョトンとしてると、何かが飛んできた方向から数人の人が出てきた
「どうやら間に合った様だな
二人とも怪我はないか?」
見れば男性が二人と女性が三人の五人組だった
話しかけてくれた男性は俺よりも少し背が高くがっしりとした体格に素早く動ける為にか必要最低限の防具しか身につけていなかった
そして、両腰には剣を持っているのだろうが今は片方は鞘だけになっていた
もう一人の男性は全身をしっかり護れるような鎧に長い槍を持っていた
槍の先には鋭い矛先が付いていて、さらに横にも鋭い刃物がついていた
他の女の人達は詠美さんの方に向かってくれているようだ
銀色のスリムな鎧を身につけ丸い少し大きめな盾を背負い細身の剣を腰につけている女性と白い衣装に木の杖を持った髪の長い女性が詠美さんと話している
もう一人の女の人は黒い大きな帽子をかぶり、黒い衣装に身を包んでいるがそれなりに肌が露出している
何だかこの人...
ぼーっとあさっての方向見ているような...
(この人達はいったいだれなんだ?)
でも、命の恩人には間違いない
俺は話しかけてくれた男性に礼を言った
「助けて頂きありがとうございました」
「なになに、これくらい大したことないよ
それよりも少年、女の子を庇おうとしてよく頑張ったな」
男性は俺の肩をぽんと叩いて褒めてくれた