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夜も遅くなり、俺とばあちゃんは詠美さんに寝室に案内されてベッドに入る事になった
寝室にもシングルのベッドが二つ
部屋の両端に並べられていて
頭の方には観音開きの窓があった
さすがに電気なんて物はこの世界にはない
詠美さんは部屋のランプをつけてくれたので微かに明るい程度だ
「寝る時には必ずランプの火を消してくださいね
何かありましたら、右隣の部屋にいますので声をかけてくださいね」
(まあ、目が慣れるまでのがまんだね)
「さあ、ばあちゃん
今日は疲れたろ、火は俺が消しとくから先に寝ていいよ 」
「そうかい、すまないね〜
なら、先に寝るよ〜
拓ちゃんおやすみ〜」
ばあちゃんに布団をかけてやると、さすがに疲れていたのか直ぐに寝息をたてはじめていた
俺もベッドに腰掛けてからランプの火を消した
先にランプの火を消してベッドでこける訳にはいかないからな
(ほんとに今日は色んな事があって疲れたな...)
今までの事やこれからの事をもう一度整理しようと思ったのだが俺も疲れていたのか
気がつけばすでに朝だった
目覚めると外はすっかり明るくなっていた
(目が覚めてもこの世界か
どうやらどうやら本当に不思議な世界に来てしまったんだな〜)
すでにばあちゃんは起きているようだ、ベッドがからになってる
俺もベッドから飛び起きると部屋を出た
部屋を出ると下の階から何やら話し声が聞こえて来た
俺は無意識に声の方に歩いていくとばあちゃんと詠美さんが台所で料理をしていたようだった
(何やら楽しそうに話してるな)
俺はなんだか二人の笑顔につられるように顔が緩んでいた
そんな俺に気がついた詠美さんが食器を用意しながら
「おはようございます、拓さん
もうすぐご飯が出来ますから隣の部屋で待っててくださいね」
「拓ちゃんおはよ〜
ゆっくり眠れたかい?」
「詠美さん、ばあちゃんおはよ
ゆっくり眠れたよ、隣の部屋で待ってるよ」
隣の部屋にいくとテーブルにはすでにグランデルさんがいた
何やら本を読んでいるようだ
「おはようございます、グランデルさん
何を読んでるのですか?」
何の本か興味があったのでグランデルさんの真向かいの椅子に座りテーブルについた
「お〜、おはよ〜拓くん
これはな薬草の本じゃよ〜」
本を開いてこちら側に見せてくれたのだが
(げっ、全然字が読めねえ...)
「あの〜、どんな事が書いてあるのですか?」
俺には見た事も無い字だったのでびっくりした
これは字を読めるようにならなくては