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ー2ー

会場の中は人で埋め尽くされていた


広さはだいたい某在阪球団の球場くらいか


(するとここには五万人近く集まってる事になる)


何とか見えやすそうな場所を確保すると凱旋式が始まるのを待っていた


「凄いですね〜

こんなにも沢山の人が集まるなんて」


詠美さんは圧倒されてるのかさっきから同じような事ばかり言っている


ばあちゃんはもう何も考えれないのか言葉すら出てきてないぞ


そんな中大きなトランペットの様な音が聞こえてきた


その音の直後、会場が静まりかえった


「ただいまより!!

今回、戻られた冒険者たちの凱旋式を行います!!」


兵士の開会宣言のあと、会場からは凄い歓声が沸き起こった


「国王様入場〜!!」


国王が奥から姿を現し会場の観客に手を上げて歓声に答えると玉座に向いゆっくりと座った


「冒険者様方の入場〜!!」


いよいよ、龍二さん達が一列に並んで入ってきた会場をぐるっと回り、観客に手を振ったりしてみんなの歓声に答えている


龍二さんを先頭に鎧の男の人、白い鎧の女の人、白い修道服の女の人、そしてリリスさんの順番だ


リリスさん以外の人はみんな手を振っている


(リリスさんもちゃんと手を振ればいいのに)


と、思っていると何故かリリスさんがこっちを見た


(まさかリリスさんに読まれてる?)


少しびっくりしたが単なる偶然だろう


しかし、この大人数の中よく分かったな...


リリスさんはほんとに謎だらけの人だな


などと色々考えているとみんなはいつの間にか王様の前に横一列に並んでいた


「これより、勇者の儀式を行う!!

冒険者様方国王の前に!!」


龍二さん達は数歩前に出たところで片膝をついた


国王が立ち上がり何やら話し出した


勇者になる為の儀式なのだろう

何を言っているのか聞き取れないが何かいい事を言っているのだろう


なんだか、お坊さんのお経に似たものを感じる


あれは聞いてたら眠くなるがな


凱旋式も淡々と進みいよいよ終わりに近づいているのか何やら王様の話が始まった


最後になにやら次の冒険の内容を言ってるようだ


(南の沼地に生息するヒドラ?

ホンマにゲームの世界のようだ)


よくあるゲームでもこうやって次々とクエストをクリアしていって成長していくんだよな


などと一人納得していると急に龍二さんが立ち上がり


「すまないが国王、わしはもう冒険者を辞めたいのだ」


龍二さんの言葉に会場は凍りついた


同じ冒険者仲間の人達もびっくりしてるようだった


会場もなんだかザワザワとしだした


「わし一人抜けてもみんな充分強い

大して支障はないだろう」


「いやいや、待ってくれ

勇者がおらねば隣国にも力が示せぬ」


国王もなんだかオロオロしている


(しかしこの国王も本音ダダ漏れだな...)


他の冒険者仲間の人達も龍二さんを説得しているようだ何かを言い合ってる


(それでも相変わらずリリスさんは我関せずか...

あくびまでしてるし...)


「という訳でわしは行くよ

今日まで世話になったありがとうな」


おいおい、なんて度胸なんだこんな大きな式典中に途中退席って


会場もなんかザワザワした感じがおさまらない


龍二さんが会場から出ようとすると兵士たちが集まって来て剣を構える


「やめろ!!

事と次第では大怪我するぞ」


龍二さんも剣を構えて牽制する


そこに後からリリスさんがやってきて何やら呪文を唱えた


すると兵士たちはその場に崩れる様に倒れてしまった


「...安心して...

眠らせただけ...」


「助かったよ、リリス

ありがとうな!!」


「...わたしも着いていくから...

あなた達には興味があるから...」


「なら、一緒にいくか

じゃあな国王、まあ困った事があるなら気が向いたら助太刀するよ」


笑いながら龍二さんは無言のリリスさんと一緒に会場を出ていってしまった


会場にいた全員が唖然としていまっている


残された三人も国王もどうしたものかオロオロしていまっている


特に白い修道服の女の人のオロオロぶりは尋常ではない、今にも泣き出しそうだった


「これにて凱旋式を閉幕する〜!!」


もう、無理矢理兵士が締めの言葉を発して凱旋式は幕を閉じた


俺たちはなんともやり切れない気持ちで会場を後にした

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