第二話:角?が生えました
朝を迎えたみたいで、日の光が顔に当たり眩しい・・・
「あ、そうだアイツは」
怪我を負っていたあの小さな毛むくじゃらモンスター
包帯巻いた後すぐ寝ちゃったから様子見なきゃ・・・
「って、なんじゃこりゃ!?」
目を擦って、周りを見たら家が、めちゃくちゃに荒らされてた
金目の物が、ほぼ無い家に泥棒か!?
唯一の金になりそうなボロい剣は・・・あった
じゃあ、泥棒じゃない?
なら、村人のイタズラか?それが一番可能性がありそうだ
そうだ、きっとそうに違い・・・あれ、今タンスが動かなかったか?
は、犯人が隠れてるのか?
どうしたらいいんだっけ
とりあえず、追い出せばいいのか?
「は、犯人!家から出ていけ!」
ボロい剣を手に取り、タンスの死角になっている場所に思い切り剣を振りかざすも・・・そこには誰も居なかった
おかしいな、確かにタンスが動いたの見たんだけど・・・
ガタンッ!
ほ、ほら!やっぱり動いた!
でも、外側から押したりして動いてるわけじゃなさそうだ
もしかして、中なのか?
タンスの取っ手をソッと握り、一気に開けた
「キュ?」
そこにはモシャモシャと葉っぱを食べてる毛むくじゃらモンスターが居て・・・
「あぁぁぁ!!」
「キュイキュー!?」
モシャモシャ食べてるの毒草!!
「ヤバいからぺっしなさい!!」
モンスターを引っ掴んで吐き出させようと上下左右に振る
キュェーと目を回してるが一向に吐き出そうとしない
「せっかく、助けようとしたのに毒草食って終わるのかよ・・・」
腕が疲れたので離す
目を回してるからかフラフラと飛んでいる
・・・あれ、フラフラしてるけど思いのほか元気そうだし、毛艶が昨日より良いような・・・
「もしかして、毒平気?」
「キュイ」
そうだよ、と言われてる気がする
なんだよ、心配して損した
また、毒草食いだした毛むくじゃらを睨むも、我関せずと言った感じ
「はぁ、朝ご飯作るか・・・」
毛むくじゃらは今のとこ大丈夫そうだし放っておく
今日は、捨てられていた野菜のくずでスープでも作るか・・・
人参と玉葱の皮とキャベツの芯などを鍋で煮詰めて・・・
ちょっと苦いけど栄養はあると母さんが教えてくれたスープ
一応、毛むくじゃらの分も皿に注ぎ側に置いとく
小ぶりのめちゃくちゃ硬いパンと一緒に食べる
スープが染みこんで少しふやけたパンは美味しい
本当は牛乳と肉類とかもっと栄養のある食べ物が欲しいけど、手に入らないから仕方ない
食べ終わり片付けてるとキュイと鳴き声が聞こえ後ろを向くと器用に食べ終わった皿を頭に乗せて毛むくじゃらが飛んできた
「ありがとう、美味かった?」
皿を回収して洗いながら聞くと頷いてくれた
ちょっと嬉しい
皿を洗い終え、改めて家の中を見渡す
食べ物でも探してたのか毛むくじゃらが散らかしたあと
「散らかしたんだからお前も手伝えよ」
フヨフヨ飛んでる毛むくじゃらを捕まえて手伝わせる
粗方終わって、ふと近くにあった鏡が目にとまる
ん?んん?
額になんか出っ張りが・・・
小さくてよく見ないとわからないけど、これ角じゃないか?
引っ張ったり、軽く突っついてみる
やっぱ、中から生えてきてるよな?
「なんで、角が生えてんだよ!?」
頬を引っ張る、痛いから夢じゃない・・・夢であってほしかったよ
父さん、母さん
僕はなぜか角が生えました