第11話 急ごしらえの同盟
「同盟……ねぇ」
スマホを見て目についたのが「同盟募集」の通知だ。アレンシア国がリシア国を攻め滅ぼしたせいか周辺国に一致団結してアレンシア国に立ち向かおう、という機運が高まっているらしい。
その中でご近所であるミサワ国とランカ国という2つの国で結成している同盟に加入申請を行う。
反応は早くその日の夕方には加盟が承認され、翌日に顔合わせも兼ねて会って話そうという流れになり3つの国の首脳会談が実現した。
薔薇の騎士団による護衛の元、マコトとディオールはミサワ国へと向かう。中間地点の都市国家シューヴァルまで1時間、そこからさらに歩いて1時間ほどかけミサワ国の城下町へとたどり着いた。
民家がぽつぽつと建っておりマコトの国よりは発展しているように見える。城も「マコトの住んでいるものよりは」立派と言える程度の小さい城だったが、手入れは行き届いておりもちろん穴なんかは空いてない。
会議室にやってくるとマコトより10歳は年齢は若く見えるミサワ国の王と、どこかオタク臭い青年に見えるランカ国の王が待っていた。早速会合が始まる。
「では会合を始めよう。今回の同盟はずばり、アレンシア国に立ち向かう為である。奴は周辺地域の平和を乱す悪だ。我々はこの脅威に一丸となって立ち向かわなくてはならない! そのために集まってもらった」
「アレンシア国が脅威ってのは分かる。じゃあ具体的に俺達は何をしてそれに立ち向かうのかを聞きたいんだが」
ミサワ国の若き王が芝居ががった口調でランカ国の王とマコトに語りかける。そんな彼に対しマコトは鋭く突っ込む。
彼が答える代わりに王の参謀と思しき者がマコトに答えをだした。
「我々ミサワ国としては具体的には平時には軍の合同訓練および、アレンシア国に攻め込まれた場合に迎撃するために軍隊を動員する軍事同盟と、3ヵ国間での取引の際関税を大幅に引き下げ、あるいは撤廃して安く取引が出来るようにする通商同盟の2つを軸に協力体制を作っていきたいと思っているのですが、貴方の意見を聞きたい」
「フム……ディオール、どう思う?」
「私の方は特に異論はございませんな。その方針で構いません」
「分かった。その形での協力で構わない」
マコトは快諾した。
「ところでランカ国側は何か言いたいことはないか?」
「いや、無い。同じような内容を以前ミサワ国と話したんでな。ほぼあんたたちハシバ国との顔合わせみたいなものさ。まぁこっち側にはSSRがいるから安泰だな!」
「何だ? ミサワ国やランカ国にはSSRがいるのか?」
「トボケんなって、お前の所にはSSRのディオール様がいるんだろ? 期待してるぜ」
「!! 何だ知ってんのか」
その後も衝突らしい衝突も無く、会合は穏やかなうちに終わった。
会合を終えて、マコト達は自国へと帰ってきた。
「……結局、王たちで言う「だぶるすーぱーれあ」の「れありてぃ?」とか言いましたな。そんな私が目当てだったようですな。こういう話は今ひとつ良く分からないのですが」
「そうだな。もしお前がいなければ俺みたいな弱小国は相手にされなかっただろうな。それにレアリティの気にするのは俺みたいな地球から来た王だけだ。気にしなくても良いぞ」
「いざとなったら命を懸けることも視野に入れておりますぞ」
「馬鹿野郎。俺より年老いてるとはいえ命を粗末にするようなことはするな。長生きしろ」
王は生き急ごうとする配下をいさめる。
自らの命をなげうってまでついてくる臣下に弱小国の王は心の中で感謝した。