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あなたの言葉は、あなたのもの?

 日本人は、自分の意見を主張するのが苦手らしい。たしかに、「私は〜と考えます」という形で日本人が主張するところをあまり見かけない。どこか他人ごとのように意見が展開されがちである。最近思うのは、他人の言葉を自分の言葉のように話す人がいるなぁということだ。


 自分と同年代(20代)の人と会話をするなかで、たまに話し相手の主張を聞けることがある。しかし、どこかで聞いたことがあるような主張が多い。政治に関係するのものであれば、「いまどきのマスコミは信用ならない」というフレーズを耳にすることが多い。どうしてそう思うのと尋ねると、何だか釈然としない理由が返ってくる。しばしば見受けられるのは、「〜って言われている」とか、「みんな〜と言っている」というフレーズである。「どこで言われているの?」「そこでいうみんなって誰なの?」と聞くと、「ネットに書いてあった」と答える。


 不思議なもんだ。どうして、マスコミに対して疑いの目を向けるのに、インターネットには疑いを向けないのか。インターネットに書き込みをする人というのは、閲覧する人に比べて限られているだろう。また、インターネットの書き込みは、一部の人間が何度も書き込む事ができるから、よく見受けられる主張が「みんなの主張」とはならない。


 政治ごとでなくても、同様のことにしばしば出会う。「あのゲームは、クソゲーだよ。だってバグだらけだから」と喝破すると思えば、「そういうレビューをネットで見た」と言う。「〜という行為は、許してはいけない」という主旨の話をするが、「だって、そう言われてるじゃん」と言う。


 つまり、あなたの言葉は、あなたのものではなくなっている。。ネットの情報などの伝え聞いた主張をまるで自分の主張のように述べる。たしかに、インターネットや本、友人という周囲の影響を受けて、その人の主張や考えは形成される。だから、自分の主張が完全に個人的なものであることは滅多にない。しかし、「これが私の意見です」という形で主張するかぎりは、その理由もまた自分の立場として展開しなければならない。そうでなければ、結局のところ、それはあなたの言葉ではなくて、流れてきた誰かの言葉にすぎないからだ


 僕は、人と会話をするときに、その人に興味をもって会話をする。「どうしてそう思うのか」、「なぜそのように感じるのか」と思って質問をする。そこで他人の言葉、ネットの言葉を聞くと「それは、ネットを見ればわかること。僕は、あなたの言葉を聞きたい」と思う。しかし、そういう言葉を聞くことはなかなか困難だと思うようになった。


 とはいえ、こんな事を書いている僕は、僕の言葉を話せているだろうか。しかし、そうやって自問自答した上で言葉をつくるしか、自分の言葉は作れない。そう思う。

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