悪い雰囲気は、自分でつくっている
喧嘩は1人ではできない。口喧嘩も同様である。
たとえば、AさんがBさんに相手の気分を悪くする発言をする。それに対してBさんが「何だと?!」と応答すれば、口喧嘩、あるいは暴力を含んだ喧嘩へと発展する。激しい言い合いの場面に遭遇することはないとしても、仲がよくないもの同士の会話を耳にすることはあるのではないだろうか。
そういうレベルでの喧嘩を外野から観察していると、両者が協力して悪い雰囲気をつくっていることがわかる。意図していない口喧嘩で言えば、よくあるのは喧嘩を仕掛けた側Aさんが相手に喧嘩を売ったつもりはない場合だ。その人は、自分は言いたいことを言っただけだと思っている。それに対して、喧嘩を売られたと思うBさんは、喧嘩を売った相手Aが悪いと考え、自分に非はない分だけ相手に強い態度で出る。その強い態度が、さらに相手を引くに引けない状態に落とし込む。これが喧嘩となる。(よくあるのは、お互いが喧嘩を売られたと思い込んでいるパターン)
口喧嘩を防ぐのは簡単である。その喧嘩に乗らなければよい。相手が自分を悪く言ってきたとしても、それに応じない。そこで応じることで、喧嘩は生じる。もし自分が悪く言われたとすれば、「いやぁ、おれはそういうところがあってさ〜」と誤魔化すのはどうだろうか。たしかに、そうやって回避できるような場面は、多くはないかもしれない。しかし、少なくとも喧嘩を許容しない姿勢をとることはできる。殴られたから殴り返せば、喧嘩であり両成敗だ。しかし、右ほほ打たれても反撃しなければ、殴った相手が悪いのであり、喧嘩ですらない。
私の知り合いは、しばしば不平をこぼす。「あいつは、好き勝手なことを言う」と。その「あいつ」という人と知り合いが会話すると、いつもピリつく会話になる。両者とも、語尾が荒く、食ってかかるような会話になる。
そういう場面を見ていると、いつもこう思う。「2人でこのピリつく緊張感を作っている」と。知人と知人がいう「あいつ」は、お互いに相手が悪いと思っている。そのため、自分は悪くないという思い込みから、相手に強い姿勢にでる。「あいつが悪い。わたしは悪くない」。
しかし、ピリつく雰囲気は、2人の共同作業で生じている。どちらかが語尾を和らげれば、どちらかが「すみません」と言えば、丸く収まる話である。だけど、両者は気づかない。そういう光景をみていると、「実際は、この2人は仲が良いのではないか。お互いに気持ちは重なり合っているじゃないか」と、僕なんかは思ってしまう。




