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「社会人」と子供

 働いていないと社会に出ていないらしい。実際、「社会人」という言葉は大学生に使用されることはないし、もちろん、小中高生にも使われない。たとえ、時間を削ってアルバイトをしていても、アルバイトとして働くことが「社会人」になることを意味しない。それが一般的な「社会人」という言葉の使い方である。


 僕は、そもそも「社会」という言葉が何かわからない。何か漠然な定義をしたとしても、僕は社会にいる人が「社会人」であるとすれば、小学生も立派な社会人と思う。こういうことを考えると、「税金を納めていないかぎり、小学生は社会人ではない」という言葉が飛んできそうだが、小学生が駄菓子屋でお菓子を買えば(この表現はもう古いが)、そこで消費税の支払いが行われている。そのお金が、何かしら国民へのサービスに利用されるだろう。


 もう少し考えると、「いや、多くの小学生は働いていないので、小学生が支払うお金の大半はもとを辿れば、親のお金だ。それは小学生のお金ではない」という言葉が飛んできてもおかしくない。ただ、それだとアルバイトをしている高校生は社会人ということでよろしいか、という話になる。しかし、世の中の「

社会人」という言葉は、高校生には適用されない。

 いやそもそも、子供(小学生)が親からお金をもらったかぎりで、そのお金の所有権は子供にあるのではないか。そうだとすれば、「小学生がもっているお金は、小学生自身のものだから、小学生も立派に消費税を支払っている」ということになる。


 これに対して、「税金の中で、消費税だけを支払っても社会人ではない」という理屈を立てたとしても無理が生じる。なぜなら、なぜ消費税だけでは社会人とならないのか、そもそも税金を納めた金額の問題かという他の疑問がいろいろと湧いてくるからだ。


 つまり、人々が気軽に使う「社会人」という言葉、それ自体不思議な言葉である。それなのに、周囲の人間、ビジネスシーンなどで何事もなく使用される。「お前は、もう社会人なのだから・・」「これこれができるのは、社会人としての常識です」。僕はその言葉が不思議でたまらない。

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