誰しもがもつ欲求とは?
下世話な話をする。
どうやら、男であれば、誰しもが性的な欲求をもっている。だから、誰しも男であれば、風俗に興味があって、女性と付き合いたくてうずうずしている。それを前提して話が進む。とくに、男だけの空間であればそうである。
たとえば、「彼女いるの?」という問いがあって、「いない」と言えば、なぜだか彼女がいない人間は残念なやつだという方向に話が動く。「風俗に行ったことある?」という話になって、「そういうことに興味がない」といえば、それは「カッコをつけている」「嘘を言うな」となる。男性とは、みんな性的な関心が強くあって、男であれば異性とそういうことになりたいものだという前提があるらしい(ここでは異性愛者の男性を念頭において、話を展開しています)。性的な初体験も、早く済ませないといけないというのも、大したことない前提の上に築かれている。
どう思われてもよいが、僕はそういう話に関心がない。知人に彼女や彼氏がいるかどうかも、どっちでもいいことだと思っている。もっといえば、結婚しているかどうかも興味がない。その程度だ。だが、周囲を見るとそうではないらしい。
少なくともいえるのは、そういう話を切り出す人は、その前提を背負っているということだ。「女性と付き合いたいでしょ?」と切り出す人は、「男性は、みんな異性と付き合いたいもの」という前提を背負っている。「風俗に行きたいでしょ?」と言う人は、風俗に行きたいのである。「行きたいのは、あなたでしょ?」と心で変換すれば、その人の考え方が理解できる。
つまり、質問者が質問と見せかけて、自分の考えを示しているのである。質問は、ときに立場の主張でもある。そもそも、誰しもが共通してもつ欲求とはあるのか。あったとしても、程度の違いがあるのではないか。こういう問いを立てれば、自ずと自分の考え方が見えてくるかもしれない。




