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ぴょん子  作者: 川本千根
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ピタリ

ぴょん子は瞬間的に男にモテる自分の特性を活かした私への復讐を始めたんだ


一人目は大和

二人目は多分亮太を狙ってる?


でもどうやって亮太のママに近づいたの?




次の日のいつものように私はお昼の食材を持って亮太の部屋を訪ねた


大学は春休みだったけど亮太は家庭教師のバイトがあったから実家には帰らずにいた


亮太は大学近くのマンションに住んでいた

亮太のママが気に入って決めたここらへんでは珍しいデザイナーズマンションだ


ベランダへのサッシがやたら大きい

その為カーテンも特注で作ったらしい


なんか住みづらいって亮太は文句を言ってたけど、私はあのマンションの小さいオシャレなキッチンが好きだった


打ちっぱなしのコンクリートの壁に所々真っ赤なタイルが埋め込まれている


洗った食器を置く場所なくって確かに使いづらかったけど




「亮太食べなー」って作った鍋焼きうどんをテーブルに運んだ

亮太の好きな白ネギをいっぱい刻んで上に乗せてある


こっちに背を向けてベットの上でスマホをいじってた亮太がコロンとひっくり返り


「サンキー、うまそ」

と言ってテーブルについた


亮太が鍋焼きうどんを食べ始めた時


「ねえ、宇佐木梨花って知ってる?」

って声をかけたら


亮太の箸がピタリと止まった

うどんも宙にピタリと止まった


ああ…


亮太正直なんだよな

そこが好きなんだけど

これは…

すでに何かある


怒らないから正直に話してと言って聞き出した話はこうだ




亮太のママは地元のアウトレットのフードコートで二ヶ月に一回ボランティアでミニコンサートを開いてる


1月末にコンサートを開いた時に演奏が終って帰ろうとするママのドレスにカレーをぶちまけた女の子がいたそうだ


女の子は泣いて詫び無理やりママから住所を聞き出し、後日ドレスのクリーニング代と手土産を持って亮太の家に現れたらしい


今時律儀な娘さんって、ママはその娘を家に上げたらしい

その娘が音楽科の学生だったので、ママも音大時代の話をして盛り上がったんだって


ちょうどその日亮太は実家に帰っていて、雨が降ってきたのでその娘を亮太が駅までママのプジョーで送って行った


それで…可愛い娘だなーって思ってるところ、お茶に誘われフラフラついて行き、食事をする約束をして、地元に帰ってきてるぴょん子とこの短期間に二度もご飯を一緒に食べたということだ


ママはそのことを知らず、そのときぴょん子と撮った写真をフェイスブックにアップしちゃったわけだ


この親子、いつか詐欺に会う…




私は約束だから亮太を怒らなかった


別れたけど


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