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ぴょん子  作者: 川本千根
2/19

さらーっと

高校に入ったら意外に大和が女子からの評価が高くておどろいた


あ、それはモテたって意味じゃなくて、うーん、人としての人気と言うか、自分たちの仲間として認めるって意味でね


その前に私と同じ高校に入ったのも驚いたんだよね


そこそこの進学校だったから、まさか大和がここに入るとは

正直勉強できないと思ってた

たまにトンチンカンなこと言ってたし


私は中一のときの大和のイメージでずっと見てきたから気付かなかったけど、いつの間にか痩せて背も伸びていた


顔はもともといいし、高校に入った時点で頭が悪くないのも証明されているわけだから中学時代を知らない女子から人気が出たわけだ


確かに窓辺でクラリネット吹いてる姿は上品だ

まあ、大和は金持ちのおぼっちゃまだしにじみ出る何かがあるんだろう


ふざけて音楽室のピアノでモーツアルトのトルコ行進曲を超高速で弾いた時にはみんな驚いた

普段のーんびりした大和の以外な一面

世に言うギャップ萌だな




高校でも吹奏楽部の男子は少なかった

私たちの学年は大和と変わり者の啓介しかいなかったし、先輩も二人だけだった


大和は啓介とは反りが合わなかったから、部活の帰りは私たち女子と帰ったんだよね


帰りにサーティ○ンなんかに寄ったときなんかは大和の隣は私っていうのが当たり前になっていった


なんとなく仲良くなっていって、試験前は二人で図書館で勉強したり、七夕祭りなんかも一緒に行った

人混みをかき分けやっと買ったたこ焼きを二人で半分ずつ食べた


特に付き合おうって決めたわけじゃないけど、周りからは付き合ってるように見られていたと思う


ここでぴょん子登場



ぴょん子は人懐っこくて人を緊張させない雰囲気を持っている


ぴょん子はバスクラだったからクラの大和とは仲が良かった


まあ、大和は女子みんなと仲良かったけど…


ぴょん子は私たちと違う中学出身で、十人並みの容姿だと思うんだけど、化けるスキルに長けていた

いつもまつ毛は綺麗にカールされていたし

すごく綺麗に眉を描いてた

器用なんだなきっと


ぴょん子の長い髪は2つに結ばれていた


あの頃うちの学校でツインテールにしている娘は珍しかった

髪の長い娘はみんな落ち武者みたいにゆるく一つにしばっていたんだよね

私もそうだけど


ぴょん子は初対面だとうんと可愛く見える


私?

私はうーん、十人並みかな

ちょいちょいババ臭いと言われることはあるけど

…多分十人並み

そういうことにしておく




忘れもしない


その日大和は夏風邪で部活を休んでた

私は野球部の県大会の準決勝の応援の帰り、ユーフォの美咲に


「うさ、大和と映画行ったらしいよー」

って聞いた


え…

聞いてない…

っていうかヤダ

なにそれ


ただでさえ重いチューバを持って、炎天下の演奏の帰りでくたくただったのに、その情報を聞いて究極まで体がだるくなった


私はあのときのだるさを思い出せばすぐに寝込める


次の日の直接大和に、うさと映画行った?って聞いたら


「うん、行った行った」

ってさらーっと答えた



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