ぴょん子語る
「それとさあ、悪いんだけど部室での事は全然覚えてないわ」
「でも、面白いね、その浦島太郎VS亀の話」
「ヨネちゃんすごい感性だよ、脚本家かなんか目指せばよかったのに」
「そういうとこ、たっちゃん気に入ってたんだろうねぇ…」
「なんだかもったいなかったね、別れちゃって、あはは」
…ぴょん子楽しそうだよ
「たっちゃん若いけどお金持ちだったのに」
「あの人いくつか特許持ってるからさ」
「なんか百均に置いてある調理器具なんかでもすごく売れてるのあるっておばさん自慢してたし」
はあ、それでいい車乗ったりいい服着てたりしてたんだ…
知らなかった
「たっちゃん勉強できなくて聞いたことないような大学行ったのに、わかんないもんだよねぇ」
「社会に出たら大活躍だよ」
やっぱり机に向かってられなかったんだろうな、樹さん
「それにしても…ヨネちゃんがおもちゃ会社に就職してたなんて意外…」
どーせ公務員になると思ってたんでしょ
「亮太くんのママと知り合ったのだって偶然だって」
「あの日は大学の仲間とアウトレットと地ビールの工場見学のバスツアーに参加してたの」
「あのときの子供が走り回っててさ、ぶつかって転んじゃったんだよね」
「それでおばさんのドレスにカレーこぼしちゃって」
「アウトレットで買い物した後だったんでお金なかったし、友達もパパに持たされたカードしか持ってないような子達だったからお金借りられなくって」
「おまけにバスの出発の時間も迫ってたし」
「おばさんはいいのよ気にしないでおほほほほ〜って言ってたけど、あれジバンシーのドレスだったから、そういうわけにもいかないと思ってとりあえず住所聞いておいたんだよ」
「それで帰省の途中でクリーニング代置きに寄ったの」
「雨降ってきたし、帰りはおばさんが駅まで送ってくれるって言ってたんだけど、ついしゃべり込んじゃって、ピアノ教室の生徒さんが来る時間になっちゃったもんだから、代わりに亮太くんが送ってくれたわけ」
「それで車を降りるとき社交辞令で、お茶でもって誘ったら、ホイホイついてきたわけ」
むかっ
「まさか亮太くんがヨネちゃんの彼氏だったとは」
「世の中狭いねえ」
その話が本当だとしたら狭すぎだよ…
ほんとに偶然なの?
にわかには信じられない




