ねこの集会
雰囲気を楽しんでもらえればうれしいです。
ぼくはねこの集会というものがある事をお友達の女の子から教えてもらった。
その女の子が言うには、
「近所のノラ猫とか、半分家で飼われている猫が夜になると集まって
みんなでお互いを無視する集会なの。
しばらく無視したらそれぞれの持ち場に帰り、解散する。
わたしはそれを眺めるのが好きなのね。
今晩行くつもりだけれど、あなたもねこの集会を見たい?」
という事だった。
わたしはもちろん猫が好きなのでその集会を一緒に見に行く事にした。
彼女が言うには、彼女のアパート近くの公園で夜の7時半から1時間ほど集会は開かれる。
夜7時過ぎ。我々は早めに公園に集結した。
僕は念のためかつお節を持参した。
もう秋が終わろうとしている。
お友達はひざ丈のスカート、黒いストッキングにブーツを履いていた。
「ここのベンチなら距離もあるしゆっくり見学できるわ」
と彼女は言った。
7時20分になり、最初の猫がやってきた。
キジトラ猫で我々の存在を確認してからブランコに向かった。
2匹目は長毛のペルシャ猫。我々の足元に擦り寄り愛想を振りまいてから、
同じくブランコに向かい、キジトラ猫と距離を置いて座った。
その様にして7時半には6匹の猫が距離を置いてお互い知らんぷりした。
猫の集会が始まった。
わたしはお友達に聞いた。
「どうしてみんなで知らんぷりするんだろう?せっかく集まってるのにさ?」
「うーん。分からないわ。
これくらいの距離にいるだけでも、猫にとってはほっぺたにキスするぐらいの、
感覚なのかもしれないわよ」
「なるほど。そんなものかな」
我々は狭いベンチに座っていた。お互いの肩が触れ合うくらいの距離だ。
猫たちは肉球を舐めたり、手で顔を洗ったりしながらそれぞれの方法でお互いを無視するふりをしていた。
遠くの方に街灯が一つあるだけの公園で、星がはっきり見える。
隣でお友達がすうすう寝息をたてている。
50分が過ぎ、キジトラ猫が起き上がり、ながーい伸びをしてから他の猫に邪魔にならないようにして公園から去った。
お友達は寝息をたて、わたしに寄りかかっている。
わたしは8時半になって猫が公園からいなくなってから、どうやってお友達を家に招き、暖かいお鍋を一緒に食べるように誘おうか考えていた。
8時半になるまであと10分残されていた。
お友達は隣で寝ているふりを続けていた。
公園の街灯を見て、それから星空を見た。
我々はお互い白い息を吐いている。
もう秋が終わろうとしていた。
御覧の通り、味付けのとても薄い小説です。




