愛すべき人からの宝石は、私の想い
幾つも宝石を並べても、その宝石には見劣りした。
それは叔父が私にと与えてくれた石だった。
普段は金庫に入っているその石は、財閥の娘の私であっても綺麗だと思わせた。
私は贅沢な生活がそこまで好きではなかった。
でも、だからこそ、この石を持っていろと叔父は言った。
私の石は密やかに置いてあった。
そして、結婚が決まった時にネックレスに使うことにした。
その石を手掛ける宝石師や宝飾師は悲鳴を上げたらしいが、それでも、そばに置いておきたかった。
叔父は私のことを一番可愛がってくれて、好きなことをさせようとしてくれた。
いつかお礼がしたいと思ううちに結局、上手く行かず。叔父はイギリスの古城と横にある館を買い、日本から出ていってしまった。
その叔父から貰ったものを身に着けたかった。
「お嬢様、出来ましたよ」
「ごめんなさい。こんなお願いして、大変だったでしょう?」
執事はにこやかに首を振る。
「他ならぬ、お嬢様のお願いですから」
そうして、私はその石をネックレスにして、いつも着けている。
どんな事があろうと着けているつもりだ。
「あの何もお願い事をしないお嬢様が石をネックレスにと要望したらしい。叔父様の事がそんなにも好きだったのかしら」
噂は広まる。
でも、それでいいと思う。
叔父に届いたら、また私にあってくれるかも知れない。
私は、叔父さんが好きだったのだ。
恋愛観的な意味合いで大好きだった。
いつまでも奥さんを取らないおじが悪いと周りは言うかもしれない。
でも、それでも良かった。
一目会えるだけで、嬉しかった。
結局、まだ会えていないけれど、もし、会えるのなら。
私は、貴方に見合う淑女に成れたでしょうかと聞きたかった。
もし、結婚出来なくても良い。
ただそう笑うだけで、私の気持ちは満たされるだろうから。
「お嬢様。お手紙が」
「誰から?」
叔父の名前が入っていた。
中身は何気ない話題で、最後にこう締めくくられていた。
「とてもきれいになった。ネックレスがよく似合っている」
それだけで私は嬉しかった。
お返事は何と書こうか?
「じい。便箋を用意して可愛いやつ」
「畏まりました」
たくさん書きたいことがある。
全部聞いてもらえるように何枚も書くつもり。
私がどれだけ貴方を好きなのか。
つらつらと書き募るわ。
終わりには……。
「大好きな叔父様へ宝石姫より愛を込めて」