第3話「私が学園でチート隠し? ふん、テンプレのフラグ回収よ!」
『転送魔法』の光が消え、私はヴィルトス魔法学園の門前にピョンと着地した。
ドレスの裾を整え、鼻を鳴らす。
「ふん、レイリア・フォン・エルミナ、ただいま参上よ! 星輝の塔でチート魔法を手に入れた私、婚約破棄の茶番なんてどうでもいいわ!」
「レイリア、派手に戻るねえ! 学園制覇、いっちゃう?」
アイテムボックスの中から、ゼクスがノリノリで喋る。星輝の宝珠のくせに、前世の同僚みたいな口調よ。
「静かにしなさい、ゼクス。チートはまだ隠すのよ。…でも、アメリアの偽聖女っぷり、拝ませてもらうわ!」
私はペンダントを握り、メニュー画面をチラ見。『創造魔法』『転送魔法』『雷光衝撃』…ふふ、準備は万端よ。
中庭に入ると、モブ生徒たちがヒソヒソ。
「レイリア様、森に逃げたのに戻った!?」「王太子が追放するって…」
ふん、テンプレの噂展開ね。乙女ゲーム『星輝のプリンセス』なら、ここで悪役令嬢が泣き崩れるとこだけど、私、違うのよ。
「レイリア・フォン・エルミナ!」
王太子レオンの声が響く。早速登場? 隣にはアメリアが聖女スマイルでくっついて、モブ貴族を引き連れてる。
「お前を学園から追放する! 魔力ゼロの落ちこぼれが、聖女アメリアに嫌がらせをした罪は重い!」
「へえ、婚約破棄の次は追放? テンプレの追い打ち、雑ね。」
私は内心ニヤリ。けど、そこで意外な声が。
「殿下、お待ちください。」
カイル・ブレイヴァント、騎士団長が一歩前に。25歳、無愛想な顔でレオンを睨む。
「公爵令嬢を無断で追放すれば、エルミナ公爵が黙っていません。…王家への反発、覚悟なさってますか?」
お、カイル、テンプレの忠犬枠なのに頭いいの? レオンがムッとする中、モブ貴族が「確かに…公爵の権力…」とビビってる。
「ふん、勝手に吠えてなさい。」
私は胸を張る。
その瞬間、アメリアがニコッと笑った。
「レイリア様、改心してくださいね。私、聖女として導いてあげます!」
手を振る仕草と同時に、シュッ! 風魔法で水の塊が飛んできた! しかも、よく見ると水の中に小さな氷の刃が混ざってる!?
「魔力ゼロの恥さらしに、お仕置きですわ!」
うわ、テンプレの嫌がらせ、結構エグいじゃない! 氷の刃、ドレスどころか肌まで傷つけそうよ!
「はい、テンプレの嫌がらせキター!」
私はメタ視点でニヤニヤ。メニュー画面、タップ! 『創造魔法』で水の壁バシャッ! 水弾と氷の刃を全部受け止め、跳ね返す!
「きゃあ!? 私のドレスが!」
アメリアのドレスがびしょ濡れになって、モブ生徒たちがザワザワ。
「え、レイリア様、魔力ゼロじゃ…!?」「魔法使った!?」
ふふ、チート隠しつつ、軽い反撃よ。…でも、物足りないわね。
「ゼクス、もっと派手にやっちゃう?」
「レイリア、いいね! 転送魔法で追い打ち、いっちゃえ!」
私はニヤリ。『転送魔法』で、近くの泥だまりをアメリアの頭上にピョン! ドロドロドロ!
「いやあああ! 私の髪が! 聖女なのに!」
アメリア、顔真っ赤で叫ぶ。モブ生徒たちが「レイリア様、強すぎ!」「アメリア様、泥だらけ…!」と大騒ぎ。
ふふ、完璧ね!
「レイリア、フル無双いかね?」
ゼクスが煽るけど、「まだよ、焦らしなさい!」私は心の中でニヤリ。アメリア、もっと悔しがらせてあげるわ。
中庭の騒ぎを後に、私は図書室に逃げ込む。司書時代の落ち着きが蘇るわ。…って、誰!? 棚の陰から、ふわふわ髪の男が飛び出してきた。
「キミ! その剣、星輝の遺跡の産物だろ!?」
エリオット・スターゲイザー、19歳、学園の魔導オタク! アイテムボックスから星輝の剣の柄がチラ見えしてた!? やば、隠しきれなかった!
「何!? ふん、ただのアクセサリよ!」
私はごまかすけど、エリオットの目がキラキラ。
「いや、絶対遺跡の! 王国中に星輝の遺跡があって、魔力の秘密が…! ねえ、一緒に調べようよ!」
テンプレの情報キャラ、ノリノリすぎ!
「エリオット、落ち着きなさい。」
私はため息。けど、遺跡の話、司書知識でピンとくる。王国中に遺跡? チートスキルの宝庫ね。ふふ、テンプレのフラグ、ガンガン回収よ!
そこへ、カイルが図書室のドアから顔を出す。
「レイリア様、中庭で騒ぎすぎだ。…怪我はないか?」
低くて心配そうな声。ふん、テンプレの忠犬、ほんと過保護ね!
「余計なお世話よ、カイル!」
私は鼻を鳴らすけど、内心ちょっとニヤリ。エリオットが「カイル! 遺跡の話、聞けよ!」と絡み始め、うわ、騒がしいわ、この二人。
「レイリア、仲間増えたな?」
ゼクスがボソッと。ふん、別に仲間じゃないわよ! …でも、学園でのチート隠し、そろそろ限界かも。
公爵邸に戻ると、父の怒号が響く。
「レイリア! 婚約破棄でエルミナ家を恥さらしにしたな!」
ルミエール王国一の権力者、エルミナ公爵。けど、私を政略結婚の駒としか見てない人よ。
「恥? 父こそ、私をレオンの婚約者に押し付けたでしょ! 魔力ゼロって決めつけて、笑いものにしたのは誰!?」
私は負けずに叫ぶ。リビングの大鏡に映る父の顔、怒りで真っ赤よ。
「お前のような役立たずは、エルミナ家の娘じゃない! 出ていけ!」
父の言葉、まるでゲームのイベントCGね。…でも、心がチクッとした。司書時代、家族との縁なんてなかったけど、こうやって突き放されるの、ちょっと…。
「ふん、喜んで!」
私はドレスの裾を翻す。母が「レイリア、待ちなさい!」と叫ぶけど、もう遅い。
部屋で最小限の荷物をアイテムボックスにポイッ。鏡に映る自分を見ながら、ニヤリ。
「ふん、悪役令嬢の勘当フラグ、回収完了ね! 次は自立ルートよ!」
「ナイス! レイリア、独立ルート突入だぜ!」
ゼクスが囃す。父の「二度と戻るな!」が背中に響くけど、知ったことじゃないわ。
学園近くの宿屋に『転送魔法』でピョン。薄暗いロビー、木のカウンターが妙に落ち着く。
「さて、ゼクス、これからどうしよっか?」
私はペンダントを手にニヤニヤ。
「レイリア、チートで王国制覇もありだぜ! アメリアもレオンも、まとめてぶっ倒そう!」
ゼクスの声、ノリノリすぎ。
ふふ、アメリア、父、レオン…みんなくそくらえよ。この世界、私がテンプレぶっ壊してやる!