第2話「チート魔法ゲット! 私が無双でテンプレぶっ壊すわ!」
私がチート魔法で無双? ふん、テンプレ通りの展開ね!
制御室の静けさに、私の息だけが響く。
中央でキラキラ浮かぶペンダント――星輝の宝珠、絶対これ、チートアイテムよね? ゲームなら、悪役令嬢の逆転フラグ確定よ!
手を伸ばすと、ペンダントがビカッと光った。
「おっと、レイリア! 認証完了、キミが継承者だ!」
って、え、喋った!? しかも、めっちゃフランク!
「は? 何よ、アンタ。あなた様、とかじゃないの?」
私は思わず突っ込む。前世の司書時代、こんなノリの同僚いたっけ?
「ハハ、堅苦しいのはナシで! 俺、星輝の宝珠、キミの相棒って感じ。ゼクスって名乗ってもいいぜ。で、チート魔法、欲しいだろ?」
ペンダント――いや、ゼクスがウインクした気すらする。
「チート魔法…ふん、テンプレの匂いプンプンね。ま、嫌いじゃないわよ。」
私はニヤリ。ゼクスが光り、目の前にRPGみたいなメニュー画面がポップアップ。
うわ、めっちゃゲーム! 『創造魔法』『転送魔法』『アイテムボックス』、三つ並んでる!
「創造はモノ作り、転送は瞬間移動、アイテムボックスは無限収納。試してみなよ!」
ゼクスの声、ノリノリすぎ。
試しに『アイテムボックス』選ぶと、ドレスのポケットが光って…ティーセットが出てきた!
「これ、私の!? 司書時代のカフェタイム用!」
びっくりしたけど、令嬢っぽく紅茶淹れてやるわ。ふん、ダンジョンでも優雅よ!
でも、くつろいでる場合じゃない。塔の外で、シャドウウルフの唸り声がまだ響いてる。
「ゼクス、チート魔法で魔物倒せる?」
私はメニュー画面を睨む。
「バッチリ! 創造と転送で妨害しまくれ。さあ、レイリア、無双の第一歩だぜ!」
制御室のドアを開けると、闇に赤い目がギラギラ。
シャドウウルフ、10匹はいる! 「1話目でボス、2話目で群れ!? テンプレ、容赦ないわね!」
メタツッコミ吐きつつ、心臓バクバクよ。
「創造魔法、発動!」
メニュー画面で選ぶと、指先から光が溢れる。
イメージしろ、ってゼクスが言うから…鉄の壁! ドン! 床から壁が飛び出し、ウルフの突進をブロック!
「キミ、センスあるな!」
ゼクスが褒めるけど、壁じゃ倒せない。
次は『転送魔法』! ウルフの後ろに石ころ転送、ガツンと頭に命中! 「グオ!?」ウルフがよろける。
ふふ、司書知識で「重さ=威力」よ!
でも、群れは減らない。
通路の奥に、光る部屋が見える。あそこなら何かある! 「転送魔法!」自分を10メートル先にピョン! ウルフの爪、ドレスの裾スレスレ! 「近いわよ、テンプレ魔物!」
奥の部屋に滑り込むと、祭壇に青い宝玉が浮かんでる。
「ゼクス、あれ何!?」「お、スキル宝玉! エネルギー系魔法、『雷光衝撃』だ!」雷光衝撃!? めっちゃテンプレな名前、嫌いじゃない!
宝玉に触れると、メニュー画面に『雷光衝撃』追加! 「よし、今度こそ無双よ!」私は祭壇の後ろ、トラップの石板に気づく。
テンプレの圧力板ね。司書時代、冒険小説で100回見たわ。『創造魔法』で石ブロック作って乗っけ、トラップ解除!
「グオオオ!」ウルフが部屋に突っ込んできた。
10匹、いや、増えて15匹!?
「テンプレのピンチ展開、キター!」
メタ視点でニヤニヤしつつ、メニュー画面をタップ。
「雷光衝撃、発動!」
両手からバチバチッ! 青白い雷が部屋を切り裂き、ウルフが一瞬で黒焦げ!
「…うそ、強すぎ!?」
私、呆然。ステータス画面、攻撃力9999とか出てんの!? チート、最高!
「ナイス、レイリア! 初無双、完璧!」
ゼクスが囃すけど、祭壇の奥に宝箱が光ってるのに目がいく。テンプレの報酬タイムね!
宝箱を開けると、キラーン! 剣が浮かび上がる。刃が光でできてる、めっちゃ未来的!
「星輝の剣、ゲット! ビームっぽいけど、セーフなやつね!」
私はメタ発言でニヤリ。ゲームなら、これで攻撃力+500よ!
「ゼクス、この剣、仲間が喜びそうね。」
カチャリとアイテムボックスにしまう。
さて、この塔、チートも武器も手に入れた。
次は…学園よ。アメリア、偽聖女のツラ、拝ませてもらうわ!
「レイリア、学園戻るなら転送魔法で一発だぜ!」
ゼクスの声に、メニュー画面をタップ。
…でも、ちょっと待って。塔の外、誰かいる?
鎧のシルエット、騎士っぽい。まさか、追っ手!?
「誰!?」
私が叫ぶと、男が振り返る。25歳くらい、無愛想な顔。
カイル・ブレイヴァント、領地の騎士団長!? ゲームのサブキャラよね、この人!
「レイリア様…無事か?」
カイルの声、低いけど心配そう。ふん、テンプレの忠犬枠ね。別に、心配してほしいわけじゃないわよ!
「ふん、余計なお世話よ!」
私は鼻を鳴らし、『転送魔法』を起動。光に包まれ、塔が視界から消える。
「アメリア、ざまぁの準備、できてるわよ!」
学園の門が、遠くに見えた。