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~少女と子鬼の出会い~


 現代の日本国。この国で最も賑わいをみせている東京では、深夜になっても明かりが完全に消えることはない。

 そんな東京という街に、私こと落合由記おちあいゆきも住んでいた。

 生まれは栃木県なのだが、先月両親の仕事の都合でこの東京に引っ越してきたのだ。

 私としては、東京よりも生まれ育った栃木のが良かった。空気はこんなに汚れていないし、空も広く見える。何より、栃木は星が綺麗だった。

 ここと比べると、全く違う。田舎と都会の差、というやつだろう。

 栃木に住んでいたときの中学の友達は、みんな私が東京に住むということを知って羨ましそうな目をしていた。

 都会なんかのどこがいいのだろう。私にはさっぱりわからない。

 そんな都会嫌いの私だから、転校した先の中学でも馴染めずにいた。いや、クラスメートたちはそれなりに頑張っていた。私を話の輪に入れてくれようともしたし、親切にも学校の中を案内してくれようとした。

 けど、そんなクラスメートたちの親切に私は答えなかったのだ。別に新しい友達が欲しくてこの都会に引越してきたわけじゃない。友達なら栃木にいる。

 そんな私の性格をわかってきたのだろうか、親切と称して私にいろいろ構っていた連中も、次第に私を気にかけなくなった。

 正直、清々した。一人のが楽だから。

 一人は孤独だという人もいるかもしれないけど、なら孤独で構わない。誰かと必要以上のコミュニケーションをとるのは面倒だから。

 私はそういう人間だ。面倒は嫌い。

 だから、私は今日も一人だった。給食を食べるのも一人だったし、登下校も一人。

 私はこれからもずっと一人で学生生活を過ごしていくんだろうと、そう思っていた。



  * * *

「落合さん、悪いんだけど、今日図書当番行けなくなっちゃったんだよね。一人でも大丈夫?」

 この中学では委員会への参加は絶対だった。もちろん転校生の私も例外ではない。ちょうど人数に空きがあったということで、私は図書委員に任命されたのだった。

 今日はその図書委員の当番がある日で、先ほど声をかけてきたのはその図書当番を一緒にやることになっていたクラスの女子。確か名前は雨槻さんといったか。

 大方友達に遊びにでも誘われて断れなかったのだろう。私に仕事を押し付けて遊びに行くつもりらしい。まあいいか。

「うん。大丈夫だよ」

 私は作り笑いを顔に貼り付けてそう返した。

「そっか、良かった。ごめんね。じゃあ代わりに今度の当番は私が全部やるから、今日はこれで失礼」

 意外に雨槻さんとやらは、義理堅い人間だということを知った。

 どうやら今の感じだと、友達と遊ぶというわけでもなかったようだ。塾か何かあるのだろうか。失礼な勘違いをしてしまったことに少し反省しよう。


 さて、図書当番は私だけだ。放課後の当番なので、きっと下校時刻の6時までやらされるのだろう。とはいっても担当の先生はこっちの様子を見に来るわけでもなく、どうせ職員室でコーヒーでも飲みながらくつろいでいるのだろう。

 この学校の生徒は、放課後図書室を使うことはほとんどない。だから、私としてはサボっていてもバレないし、良い時間潰しにはなるのだ。


 職員室から図書室の鍵を借りて、そのまま同じ階にある西の突き当たりの部屋を目指す。そこが図書室なのである。

 中は少し埃っぽい空気が漂っていた。きちんと掃除しているのか問いたくなる。

 薄暗いので電気をつけようと、スイッチを押す。が、カチッという効果音が聞こえるばかりで部屋に明かりがつく気配はない。

「ブレーカーが落ちてるってわけでもないだろうに」

 停電というわけでもないようだ。窓の外に見える職員室は普通に明かりがついているのだから。

「おかしいな。仕方ない、先生呼んでこよう」

 と、出口に向けて足を一歩踏み出した瞬間だった。


『そなた、鬼になる気はないか?』


 小さく、聞き取れるか聞き取れないかの本当に小さな声が、私の背後から聞こえた。

 声の主の姿を見ることは出来ないが、きっと私よりも少し年下、おそらく小学生くらいの少年と少女の声だということは把握できた。


『そなた、鬼になる気はないか?』


 今度ははっきりと、私の後ろで声がした。

 私は恐怖で後ろを振り向けずにいる。

 だって、この図書室には鍵がかかっていたのだ。それに、私がこの部屋を開けたとき、中には他に誰もいなかったというのに。


『申し遅れた。我等は母神様の命により、歴史を見届ける役目を背負った子鬼』

「我は那智という」

「我は出雲という」

『我等、歴史を傍観する双子なり』


 わけのわからないことをべらべらと。少しだけ腹が立ったので、後ろを振り返って文句を言おう、と思ったのだけれど、私は振り返って絶句してしまった。


「――つ、角?」


 後ろに立っていたのは少年と少女。やはり私よりも少し年下くらいだ。けれど、この二人には普通の人間では考えられないような部分があった。

 一つ、角。額から生えた、一対の角。二つ目に髪の色。鮮やかな、決して染色だけでは出ないであろうその緋色。そして最後に瞳の色。彼等の目の色は白かった。決してカラーコンタクトではないと、これは私の直感。


 その異形の者達は再度、私に向かって問うた。


『そなた、鬼になる気はないか?』


 その表情は、満面の笑みだった。

 gdgdな始まり方ですみませんですorz

 これから少しずつ歴史っぽい要素を出していこうと思います。

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