表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/13

麻薬密売事件1

よろしければ読んで下さい。

 ある日、警視庁の中でコーデリアは溜息を吐いていた。今、秘密警察のメンバーは国際的な麻薬密売組織を追っているのだが、捕まえる事が出来ないのだ。麻薬の取り引きがあるという情報を掴んで現場に乗り込んでも、そこはもうもぬけの殻という事が、何度もあった。

小説の中に今回のような事件は無く、捜査のヒントになるようなものが全く無い。

 「なかなか尻尾を掴めませんね」

エリオットがコーデリアに話しかけた。

「そうだな。組織が販売した麻薬のせいで中毒者も出ているし、早く何とかしたいな」

「もうすぐフォール警部が異動になるし、早く捕まえたいですね」

「は?」

初耳だった。

「あれ?聞いてませんか。フォール警部、地方の警察署の幹部になるそうですよ。まあ、栄転と言えますね」

 秘密警察の所属ではなく、地方警察の所属になるという事か。しかし、何故ケヴィンはコーデリアに何も教えてくれなかったのか。秘密警察に所属になったばかりのエリオットが知っていたのに。


 その日の昼、コーデリアが大衆食堂のような場所で食事を取っていると、ケヴィンが入ってきた。

「よお、隣いいか?」

「はい、どうぞ」

ケヴィンはコーデリアの隣に座ると、仕事の話を始めた。

「例の組織、まだ新しい情報は掴めないのか?」

「はい。エリオットと一緒に情報屋等を当たっていますが、まだ何もわかりません。・・・フォール警部、最近お忙しそうですね」

「ああ、色々あってな」

「エリオットから聞いたのですが・・・フォール警部、地方警察に異動になるというのは本当ですか?」

「・・・ああ、本当だ」

本当だったのだ。異動になったら、ケヴィンとは、あまり会えなくなる。コーデリアは、寂しい気持ちを抱えたまま、昼食を口に運んでいた。


 昼食から戻ると、エリオットが犯罪者らしき男と何やら言い合っていた。しかし、その男は異国の者なのか、帝国の公用語とは違う言語を使っていた。エリオットはその言語があまり理解できないようで、苦戦している。

 コーデリアが間に入って、男から情報を聞き出す。コーデリアは前世で英文学の研究をしていたのもあり、外国語の勉強は苦にならない。秘密警察の所属になる前から、周辺の国の言語を勉強していた。

 「助かりました、オルコット警部補」

男の事情聴取が終わった後、エリオットが礼を言った。

「礼には及ばない。しかし、異国の者に話を聞く機会は今後もあるかもしれない。辞典のようなものを用意した方が良いかもしれないな」

「そうですね・・・。俺はどうも外国語の勉強が苦手で・・・」

「外国語の勉強は楽しいんだがな。知らない世界を旅しているようで」

 その瞬間、エリオットが大きく目を見開いた。そして、恐る恐るコーデリアに聞いた。

「あの、もしかして・・・桜庭先輩・・・?」

今度は、コーデリアが目を見開く番だった。

「どうしてその名を・・・」

「やっぱり・・・。俺、市原勇人です。大学で同じサークルだった・・・」

「市原君!?」


よろしければ、ブックマークやいいね等の評価をお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ