連続殺人事件1
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ケヴィン・フォールは、五歳の時に両親と共に共和国から帝国へと移住した。商人だった両親が、工業化の進む帝国で新しい事業を始めようとしていたからだ。
帝国での事業も成功し、ケヴィンは両親と共に幸せな生活を送っていた。しかし、ケヴィンが九歳の時、悲劇が訪れる。
両親が自宅で強盗に殺害されたのだ。ケヴィンは一人生き残り、優しい親戚に引き取られたが、心の傷は癒えなかった。犯人は、捕まっていない。
小説では、パメラが殺害される数日前、ケヴィンはたまたまパメラが働くパン屋を訪れる。そして、パメラの赤い髪や腕にある大きな傷を見て驚愕する。
二十年前自宅が強盗に襲われた際、ケヴィンは強盗に見つからないよう隠れながら、両親が強盗と争う現場を見ていた。犯人は複数いたが、その中の一人が赤い髪の若い女だった。そして、ケヴィンの父親とその女が揉み合いになった際、その女の腕に大きな傷がついた。
ケヴィンは、今目の前にいるパン屋の店員が事件の犯人だと気付き、復讐の為殺害するのだ。パメラだけではなく、一緒にケヴィンの自宅を襲ったパメラの仲間も調べ上げて、殺害していく。
「・・・で、夫のハロルドはパメラと同じ三十九歳。夜に友人達と酒場で飲んでいて、帰宅したら妻が亡くなっていたそうです」
エリオットの報告を上の空で聞きそうになっていたコーデリアは気を引き締める。そしてケヴィン達と、現場となったリビングに足を踏み入れた。
まだ遺体は運び出されていなかった。ケヴィンは、遺体を目にすると大きく目を見開いた。すぐに表情を元に戻したが、コーデリアはその一瞬を見逃さなかった。
ケヴィンは、パメラが二十年前の事件の犯人である事を今知ったのだ。小説とは違う。ケヴィンは、犯人ではないかもしれない。
殺人事件が起こっているのに不謹慎だが、コーデリアは、少し心が軽くなった気がした。
「・・・妻が殺される理由に、心当たりなんてありません」
夫のハロルドは、悲痛な表情で事情聴取に応じていた。少し長い黒髪を後ろで束ねている。
「パン屋でも評判が良かったようですし、誰かとトラブルになっているという話も聞いていません」
「・・・そうですか。つかぬ事をお聞きしますが、奥様の腕の大きな傷はどうなさったんですか?昔の傷のようですが」
「妻とは長い付き合いですが、私にもわかりません。何か事件に関係でも?」
「いえ。少し気になっただけですので・・・」
「刑事さん・・・犯人を、必ず捕まえて下さい」
「・・・全力を尽くします」
真顔でそう答えるケヴィンが何を考えているのか、コーデリアにはわからなかった。
セルウィン家を後にしたコーデリアとケヴィンは、セルウィン夫妻と仲が良かったアーチャー夫妻の元を訪れた。
「パメラがトラブルを抱えていたとか恨まれていたとかは、聞いた事がないな。お前もそうだろう?
「・・・ええ、そうね・・・」
サイラス・アーチャーの言葉に、妻のリネットはおどおどしながら答えた。アーチャー夫妻は、二人で洋裁店を営んでいる。サイラスは短い金髪を綺麗に整えていて、リネットは栗色の髪を垂らした美人だ。
ケヴィンは、この二人にもパメラの腕の怪我について聞いたが、二人は知らないと答えた。
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