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麻薬密売事件4

よろしければ、読んで下さい

 「転生して、今度は優しい両親に恵まれたと思ったのに、両親は知人に騙されて莫大な借金を背負った。金を手に入れる為に、裏家業の人間と手を組んだ。・・・俺は、幸せになりたかっただけだ」

エリオットは、誰にともなく言っているようだった。

「・・・あの組織の売った麻薬のせいで中毒者が多数出ているのは知っているだろう。密売組織と手を組んで良い理由にはならない」

 エリオットは、鋭い目つきでコーデリアを見据えた。

「・・・この件から手を引いて下さい。そして、俺の事を口外しないと約束して下さい。そうしてくれたら、俺は・・・あなたを殺さなくても済む」

銃口を押し付ける力が強くなった。

 エリオットの言う通りにすれば、本当にエリオットはコーデリアの命を助けてくれるだろう。しかし、コーデリアの脳裏に、立派な警官だとケヴィンに言ってもらった時の情景が浮かんだ。

 「約束・・・できない。私は・・・秘密警察に属するコーデリア・オルコットだ。犯罪を見逃す事は出来ない!」

「残念です」

 エリオットが引き金を引くかと思われたその時、一つの銃声が響いた。

「ぐっ」

エリオットが短く呻き声を上げて、銃を落とした。コーデリアは素早く銃を足で蹴飛ばして、遠くにやった。見ると、エリオットの右腕から血が流れている。

 コーデリアは、手錠でエリオットを拘束してから、痛む右肩を庇いながらエリオットの傷口にハンカチを巻き付けた。

 「間に合ったか」

ケヴィンが駆け付けた。当然ながら、エリオットを撃ったのはケヴィンだ。

「フォール警部、合流する地点はここではないと思うのですが、何故ここに?」

「警察の捜査がいつも空振りに終わるから、不審に思って捜査関係者の金の流れを調べてたんだよ。そしたら、こいつに辿り着いてな。慌てて駆けつけたというわけだ。取り引き現場には、他の警官が向かってる」

ケヴィンが、エリオットを指さしながら答えた。

 エリオットは、自分の傷口に巻かれたハンカチを見ながら、コーデリアだけに聞こえるように呟いた。

「・・・こういう他人を優先するところ、前世と変わってませんね。・・・でも、あなたはもう、コーデリア・オルコットなんですね・・・」

 もうエリオットがコーデリアに銃口を向ける事は無い。助かった。そう思ってほっとした途端、右肩の痛みが急に強くなった気がした。そして自分の肩から流れる血を改めて見て、コーデリアは気を失った。


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