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麻薬密売事件2

よろしければ、読んで下さい。

 美智留と勇人は大学時代、学部は違ったが同じサークルに所属していた。美智留が勇人に『男装の麗人は闇を照らす』を勧めて、勇人も作品のファンになってくれたりしたものだ。美智留が大学院に進んでからはあまり会っていなかったが。


 「事情があって俺もあちらの世界で命を落としたんですよ。・・・普段からオルコット警部補の論理の組み立て方とかを見ていて、まるで桜庭先輩みたいだなと思っていたんです。それに加えて『知らない世界を旅しているよう』っていうセリフ。よく桜庭先輩が言っていましたよね。・・・やっぱり、桜庭先輩だったんだ」

 エリオットは嬉しそうに言った。勇人があちらで命を落としたと知ってコーデリアは複雑な気持ちだったが、何も言わずに微笑みを返した。

 「・・・あの、桜庭先輩」

エリオットは、急に真顔になって話を続けた。

「もう、秘密警察で仕事をするのをやめませんか?」

「え?」

「桜庭先輩、元々犯罪者と格闘するのとか、苦手ですよね。だったら、別の仕事をして生きていきませんか?秘密警察にいたって、フォール警部とは離れ離れになるんだし」

「・・・私の事を心配してくれているのか。ありがとう。・・・でも私は、この仕事に誇りを持っているんだ」

「そうですか・・・でも、一度よく考えてみて下さい。桜庭先輩には、無理をして欲しくないんです」

「・・・ああ・・・」

コーデリアは、目を伏せて、一言だけ返した。


 「どうしたの?元気ないじゃない」

その日の夜、コーデリアの自宅に遊びに来ていたシャロンが言った。

「・・・急に自信が無くなったんだ」

コーデリアは呟くようにして答えた。

「ある人に、今やっている事をやめたらどうかと言われた。私は好きでそれをやっているけど、無理をしながらしている事も確かだ。心配してくれているその人の意見を無視してまで続ける意味があるのかどうか、続ける事を認められる程の価値が自分にあるのか、わからなくなった・・・」

「あらあら、コーデリア・オルコットともあろうものが、随分弱気になったものね」

シャロンは苦笑した。

「あなたに価値があるかどうかは私にはわからないけど」

シャロンは、コーデリアの目の前のカップに紅茶を注ぎながら言った。

「好きなら続けてもいいんじゃないかしら。価値が無いと思うなら、自分の価値を高める努力をすればいいのよ。努力して努力して努力しまくって、それでも価値が無いと思ったら、それはそれで諦めがつくわ」

「そうか・・・そうだな」

コーデリアは、穏やかに微笑んで言った。

「・・・ありがとう、姉さん」


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