人類最弱と人類最強
やっとここから始まりましたよ。
「人類最弱。かなりの皮肉だな。」
「皮肉じゃないよ。私は最弱だから、命を失わせる器では無いってことさ。」
「どういうことだ。」
「虫は自分より弱いと感じているから、人はアリを潰すことを躊躇わない。そんなのじゃないよ。弱くても反撃というものを考えていないからこそできる行動だ。」
どういうことだ。
でもこいつを今倒したいなんて思わない。
もしかしてかつて会った人類最強もそう思ったのか。
命を失わせる行動の行き先は彼女では無い。自分自身であると。
「私は全ての概念に舐められている。だから私は死なないし、怪我もしない。その資格さえないんだから。」
「まるで全てを物語っているかのようだな。それは明らかな傲慢だってのに。」
「傲慢?確かに人からすればそうかもね。でもね人類最強。最弱にそんな言葉は通用しないぜ。」
無性に苛立ってくる。
でも攻撃できない。
攻撃なんてことをすることが彼女に向かってできずにいる。
「そういえば知ってる。」
「何がだ。」
「この世界。或世界の秘密を。」
或世界の秘密!!
「或世界っていうのは、いわゆる境目に存在するの。」
「境目?」
「境界とかではなくて、世界と異世界の狭間の世界。世界の条理と異世界の設定が混雑した世界にあるの。だから或世界。それは初め人によって見方が変わってくる。」
「或世界はまるで人に作られたかのような言い方だな。」
「まあ本来この世界に来ることは初めから不可能に近いの。」
「そうなのか。」
「世界に渡航するのは、世界に存在させるのは、その世界が承諾すればいい話。転生モノは別の輪廻に行くから異世界に行くけど、異世界を渡ることができる私たちからすれば、その時に世界への侵入を許可されないといけない。」
「つまる話。世界に行くには世界そのものの許諾がないと異世界には行けないってことか。そんな馬鹿なことあるか普通。」
「あるのよ。神様がいるからね。」
「はいはいそうですか。」
小野寺可不可はすぐさまこの場から去る。
これ以上付き合うのも恐ろしく痛くなってきた。
狂う程の存在感を引き出す彼女から離れたいと思うほどに。
「でも気をつけてね。或世界には私たち以外にもいることを。」
「いるに決まってるだろ。そんなこと知ってる。」
「あなたの戦っていた機会もその1人がやったものだわ。」
小野寺可不可は明暗中月に近づく。
「それは誰なんだ。」
「知らないわよ。でもここに来るからこそ。あなたの求めているものかもしれないわね。」
人類最弱のプロフィール
人類最弱は全てにおいて最弱な性能を誇っているわ。
以上。