ブルーマート
コンビニエンスストア、
ブルーマート
‘’あなたの居場所になりたい‘’をモットーに
日本全国に30店舗を展開
大手チェーンの勢いに押されながらも
好きなコンビニランキングで
ランクインするなど
店舗数以上に根強いファンを獲得している
コンビニチェーンである
「いらっしゃいませ。
ようこそブルーマートへ。
ありがとうございました。
またお越しくださいませ。」
「お辞儀の角度が違いますよ。
店長、しっかりしてくださいよ〜。」
「もうちょい笑顔の方がいいか。
って、あんた誰だよ。
この時間はバイトはセシリアさんしか
いないんじゃないのかよ。」
カイトは最初に店に来た時にいた店員に
注意された事にツッコミを入れた。
「さすがに新人の店長一人に任せられませんよ。
てことでオーナーから
指導係に任命されたバイトのムラカマです。
あっ、さっきはすいませんでした。」
「まったく人の事、不審者扱いしやがって
ここの店長は誰だよ。
まったく教育がなってないな。
って俺か。」
「あははは
店長、面白いっすね。
ここら辺、昼間でもたまに変な客来るんで
そうなのかと思っちゃったんですよ。」
「まぁいいか。
それより改めて
店長になっちゃったカイトだ。
以後よろしく。」
「よろしくお願いします。
レジだけ覚えればあとは
基本何とかなるんで
早く覚えちゃってください。」
「おう。
所でムラカマ君は見たとこ大学生?
ここ長いの?」
「俺っすか?
今年大学4年っす。
ここは大学に入ってすぐに入ったので
3年くらいっすね。
店長は新卒っすもんね。
どこの大学っすか?」
「ここから近い所なんだけど
ヨツバ大学っていう所
マイナーだから知らないかもだけど。」
「マジっすか?
俺もヨツバ大っす。
ちなみにセシリアさんもっすよ。」
レジをこなしながらカイトはムラカマと
会話をしていた。
レジを教えながら接客をする様は
手慣れたものだ。
すると品出しを終えたセシリアがレジに
向かって来た。
「ちょっと
今、私の事話していませんでしたか?
店長、改めてよろしくお願いします。
私はヨツバ大の二年生で去年から
ここでお世話になっています。」
セシリアが挨拶をした所で
コワモテのおっさんがレジに近づいてきた。
「ん‥‥。」
「はい?」
「ん!!」
俺は何を言っているのか分からなかった。
すると、セシリアさんが慌ててレジ後ろにある
タバコを手にとりレジに向かった。
「あっ、いらっしゃいませ。
いつものですね。
580円になります。
お待たせしました。
ありがとうございました。」
どうやら常連のおっさんだったらしい。
「あの人はいつもこのくらいの時間にきて
マルコスっていうタバコを買って
行くんです。
覚えておいてくださいね。」
「そうそう
俺はあの人マルコスAって裏で言ってるっす。
ちなみに深夜に買いに来る人が
マルコスBで早朝の人がマルコスCっす。
まぁそれは冗談っすけど
タバコの銘柄は覚えておいた方が良いっすよ。」
「へー。
いろんな客がいるんだな。
気をつけなきゃだな。」
カイトはムラカマからレジの基本的な事を
一通り教わった。
そんなこんなをやっていると
夜のピーク時間になってきた。
「店長、そろそろ揚げ物
揚げまくっちゃってください。
マジで売れるんで。」
「どれくらい揚げるの?」
「手前の冷凍庫にあるの全部っす。
後30分くらいで揚げ物おばさん来るんで。」
「この量全部?
てか揚げ物おばさんって誰だよ。」
「顔がコロッケで
体がフライドチキンで
腕がエビフライで
足が唐揚げ棒の怪人ですよ〜。
店長知らないんですか〜?」
「ちょっとセシリアさんまで
乗っかってこないでよ。」
「あははは。
セシリアさんそれウケる。
でも本当売れるんで毎日この時間は
揚げ物揚げまくっちゃってください。」
揚げ物が店頭に並んだくらいから
ピーク時間が始まった。
「ちょっと今日は遅くない?
レジがこんなに行列なの久しぶり
じゃない?」
「すいません。
今日から入った新人を研修
しているもんで。」
常連のおばさんが少しイラつきながら
ムラカマに話しかけた。
するとムラカマがカイトに
小声で耳打ちした。
「あれが例の揚げ物おばさんっす。
理由はこれから分かるっす。」
レジの順番がおばさんに回ってきて、
いっぱいのカゴを置きこう言った。
「これと、コロッケ4つとフライドチキン2つと
エビフライ4本とフライドポテト2つ
あ、あと唐揚げ棒も2本お願い。」
「はっ、はいかしこまりました。」
カイトは焦りながらもムラカマの言っていた事を
察した。
すると横のショーケースの所から
セシリアがやって来た。
「お待たせしました。
いつもありがとうございます。」
そう言って袋詰めした揚げ物を笑顔で渡した。
「ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております。」
こうしてカイトは初日のピークを終えることが
できた。
「いやー、
みんな凄いね。
いろんなお客の事を熟知していて。」
「まぁ毎日やってれば
すぐ慣れるっすよ。
ここ、だいたい同じ人しか来ないんで。」
「そうですよ。
店長ならすぐ覚えられますよ。
ファイト!! 」
「はは、何だか先が思いやられるけど
後ちょっとでオーナーが帰ってくる時間だし
とりあえずこれで初日は終わったのかな。」
客足が落ち着いてきて
カイト達は後は帰るだけの
感じになっていると来客が。
「いらっしゃいませ。」
いつものようにカイトはレジから
そう言い入口の方を見ると
思わず二度見してしまった。
スーツ姿でキツネのお面をした女の人が
レジに向かって来るではないか。
膨よかな胸に目がいってしまう
美女風の女性は一体誰なのか?
そして何故お面なのか?
一難去ってまた一難
コンビニ店長の苦難はまだ続く?