ブルー•プレイス
2021年、地球上を震撼させるニュースが
飛び込んできた。
「たった今入ってきた情報です。
えー、神様が死去したそうです。
繰り返しします、神様が死去しました。
4月17日、日本時間午前10時30分頃
通称神様、本名コスタス•オウリス氏
2027歳が自宅の神殿一階にある寝室で
亡くなっているのが発見されました。
また、このニュースについて
詳しい情報が入り次第
お伝えしたいと思います。」
このニュースを受けて街の人達の感想
「神様って本当に存在したんですね。
生きてるなんて思わなかったです。」
「神って誰?
ウケるんだけど、
てか2000年も生きられるのかよ。」
「あーやっぱり亡くなられたんですね。
なんか体調悪いって聞いていたので
ご高齢でしたもんね。
ご冥福をお祈りします。」
2043年4月
東京〜渋谷某所〜
「いらっしゃいませー
只今、揚げ物全品20%オフです。
この機会にご利用くださいませー
どうも
しゃーせー」
「あのー
株式会社ブループレイスってここで
間違いないですか?」
「えっ
ここコンビニ、ブルーマートですよ。」
「いや
どう見てもこの紙に書いてある住所が
ここなんですけど。」
「ちょっとオーナー
なんか変な事言ってる
おにーさんがいるんですけど。」
アルバイトの大学生らしき店員が
室内なのに黒いサングラスをかけて
商売繁盛と書かれたハッピを着た
オーナーと呼ぶおっさんを連れてきた。
「兄ちゃんあまりしつこいと
警察呼ぶよ。」
カイトは怪しいのはお前だろうと思いながらも
こう尋ねた。
「すいません。
株式会社ブループレイスって知っていますか?」
「おっ
そうか君が新入か。
ようこそ
ここがコンビニブルーマート渋谷店兼
日本ブループレイス東京支部渋谷事務所。
ちなみに上が事務所だから。
早速、シフトの確認に行こう。」
「ちょっと
俺、このブループレイスって会社に
採用されて今日入社式なんすよ。
国から委託された業務を請け負う会社って
聞いていたんですけど
ここ普通のコンビニっすよね?」
「ちょっと何言ってるか分かんないっす。
上行こう、上。」
カイトは訳も分からず
コンビニの二階にある事務所に連れて行かれた。
「はいっ
じゃあこれから入社式始めまーす。
まず新入社員入場
はーい入ってきてそこ座って。
辞令言い渡しまーす。
カイト君
ブルーマート渋谷店店長兼
日本青の党代表を任命します。
2043年4月1日
株式会社ブループレイス
社長 源藤 」
「ちょ
聞きたい事山積みなんですけど
あなたが社長の源藤さん?
でいきなり店長?
日本青の党って?
代表???
てかこの会社って何?」
カイトは取り乱しながら聞いた。
「まぁ
まず落ち着こう。
先にこっちも質問させてくれ
名前はカイト、年齢は22歳
大学は三流、血液型はO型
出身は東京
在学中はバスケサークルに所属
居酒屋でのバイトではバイトリーダーを
任されていたと。
ところでカイト君
君にとって幸せって何かい?」
「あんた、しれっと酷い事言っただろ
突然なんだよ。
俺の質問に答えろよ。」
「ああ
申し遅れたねぇ
私はブループレイスって言う組織の
日本支部を任されている源藤だ。
コンビニは収入源の一つだが仮の姿で
青の党での政治活動、
そしてフリーメインの活動を阻止する
それがブループレイスの任務だ。」
「フリーメインって自由の党の事だろ?
確か自由の党は世界平和を
掲げている政党のはず
それなのになんでその活動を阻止するんだ?」
「話は変わるが
君が生まれた年にこの世界は大きな
転換期を迎えた。
神コスタスの死去だ。
当時すでに神様という存在は死んでいて
様々に形を変えて神格化されていた。
この世界中に存在する様々な神は全部
同一人物で2000年以上生きていたなんて
事だけで大問題なのに死んでしまったなんて。
世界中は悲しみに暮れた。
そしてこの日
神様という概念がこの世界から消えた。
その影響は世界中に及んだ。
ここ日本では天皇という存在がなくなった。
そしてほとんどの宗教が消滅した。
それは同時に弱き者(信じる者)の太陽が
象徴が道標が無くなるという事だった。
そこで現れたのがフリーメイン
世界自由の党だ。
彼らは新たな象徴になるべく
自由の名の下に世界中の政界に進出し
政権を取得した。
自由とは不便ではない事だ。
彼らはそう言い24時間営業の
何でも揃うスーパーマーケットも
世界に展開した。
私達はその新略を止めなくては
ブルーマートが潰れてしまう。」
「ちょっとまて
あんた凄いそれっぽい事言っといて
最後なんだ
フリーストアが日本進出して来て
ブルーマートの経営がやばいだけだろ
それに放っといていいだろう
弱き者の象徴になって
世界を平和にするなら。」
「ところがそうはいかないんだよ。
このままでは我が社は1年を持たず
潰れてしまう。
だから君には店長として馬車馬の様に
働いてもらわなきゃ困る。」
「すげー店だな
これから働いてもらいたい人に対して
馬車馬って
あんた本当に俺を雇いたいのかよ。
それならこっちから願い下げだ。
フリーターで働いた方がましだ。」
カイトはそう言って部屋を出ようとした。
こんな所では絶対働くものかと心に誓い。
部屋を出ようとした時
もの凄い勢いで誰かが入ってきた。
俺はその開いた扉にぶつかり
倒れてしまった。
「いててて
今度は何だよ。
前見ろ前。」
「ごめんなさい。
急いでて‥‥
あっ オーナー
大変ですっ。
夕方バイトのトムラさんが
体調不良でお休みみたいです。
ピーク時に私1人じゃ
レジすら回せないですよ。
どうします?」
黒髪のポニーテールの
可愛い女の子が肩で息をしながら
源藤に伝えにきた。
「それは困ったなぁ
今日はこれから青の党の会議だって
いうのに。」
「他に変わりになる人とかいないんですか
オーナー?」
「そうだねぇ‥
そこにいるカイト君って子が
今日から働く予定だったのに
突然やっぱ働きたくないって
ごね始めちゃったからなぁ
ここで頼りになる男の人でも
いればなぁ
セシリアさんもそう思うよねぇ?」
「えっ そこにいる人が
新しい店長なんですか?
はぁ 良かった〜
これで何とかなりますね。」
女の子は話を理解しているのか
していないのか
俺に圧をかけているのか。
それをも愛おしく感じてしまうほど
可愛いかった。
「分かったよ。
分かった。
しょーがないから働くよ
めんどくさいのだけは
ごめんだからな。」
源藤はしてやったりの顔をして
こう言った。
「やっと腹括ってくれたか。
なあに君なら出来るよ
あのお方が見込んだ奴だからな。
まぁいい
よろしく頼むよ。
カイト店長。」
カイトはこうして訳の分からないまま
コンビニ店長になった。
これからの壮絶な日々を知る由もなく。