隣国へ
「ラインハルトよ、ワシは今回の戦いで魔王との決着を願っている。前回、なぜ完全に滅することが出来なかったのか?それを勇者の隠れ里の村長に調べて貰っていた」
!?
「そんな話は初耳ですよ!」
「すまぬ。これはワシが弟を守ってやれなかった贖罪の為に勝手に動いたのだ。お前には迷惑を掛けたくなかったのだ」
「水くさいですよ。妹のアイラが勇者の隠れ里に嫁いだ時から打診していたのですね?」
「………流石じゃな。その通りじゃ。完全ではないが一部の碑文を解き明かして、定期的に情報を貰っておった。だが、今わかっている事は、魔王を倒す為に勇者の仲間の命を犠牲にしなければならなかったのと、魔王にはどうやら『心臓』が『2つ』あるみたいなのだ」
国王のラインハルトは驚いた。それが本当なら物凄い情報である。
「もしそれが本当なら凄い情報ですね。それをシオンに伝えなくて宜しいのですか?」
「正直、迷っておる。魔王の心臓の事は明日の出発の時に伝えるが、魔王を滅する為に仲間の命を犠牲にする事が必要なのかという事はのぅ?」
「しかし、それはその時の場合であって、何かしらの魔法などの触媒に命が必要なのかわからないですよね?」
元国王は顎に手を置いて答えた。
「うむ、勇者の隠れ里にあった碑文を完全に読み解いた訳ではないからのぅ。この事実はもう少し判明してから伝えても良いかも知れんな」
碑文は隠されており、あの魔王軍襲撃の後も確認が取れている。解読を行っていた者も無事なので、引き続き調査はできるだろう。
ここで1度話を区切り、別の話を切り出した。
「それで、今回の事実は各国へ包み隠さず連絡することで宜しいですか?」
「そうじゃな、勇者の隠れ里の襲撃と大賢者アイラの石化………そして魔王軍の第3軍に壊滅的ダメージを与えたことは細かく伝えるのが良いじゃろう。下手に隠してもすぐにバレる。ただ─」
「シオン………勇者と聖剣の事は秘密にすると?」
元国王グランハルトは眼を細めて続けた。
「そうじゃ、各国一枚岩ではない。できる限り、シオン達の事は隠して置きたい。そして、紹介状を手に順番にその存在を伝えていけば良いと考えておる」
「下手に目を付けられるよりはいいですね。隣国クロスロード公国は信用出来ますが、北の国は心配ですからね」
二人は少しでもシオンの負担を減らせるように夜遅くまで話し合うのだった。
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次の日
「では、気を付けてな」
「大勢で見送れずすまないのぅ」
国王様達自身のお見送りに、シオンは逆に恐縮していた。
「いいえ、これで十分です。それと、軍資金や装備をありがとうございました」
「僕は大公バランさんの形見を頂いて本当にありがとうございます」
シオン達は深く頭を下げた。
「これくらいしか出来なくて申し訳ない。それグレン君、その弟の形見は貸すだけじゃぞ?」
!?
「えっ、あ!すみません!!!」
「ふぉふぉふぉ、気にしなくてよい。………だから必ず返しに戻って来なさい」
ここでグレンも気付いた。無事に戻ってくるようにというメッセージに。
「はい!必ず返しに戻ってきます!」
「短い間でしたがお世話になりました」
「ああ、無事に魔王を倒して戻ってきて欲しい」
「魔王の情報ありがとうございました!必ず倒してきます!」
こうしてシオン達は隣国クロスロード公国へと旅立つのだった。
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