お母さんの素性は─
シオンが着替えている頃─
「本当に昔の【妹】のアイラにそっくりだったな」
「うむ、ワシの娘にそっくりに成長したものじゃな。我が【孫娘】は」
そう、大賢者アイラは現国王の妹であり、この国の第一王女だったのだ。
「いくら数年に1度、王家の血筋の者を隠れ里に嫁がせる盟約があったとはいえ、直系の王族を嫁がせるのは30年ぶりでしたね」
「ああ、あの時は揉めたのぅ。隠れ里に嫁ぐから王籍を抜けて平民になるとアイラが言い出したのは………」
「ええ、しかし勇者の隠れ里で修行したいと本人の希望でしたからね。結婚は二の次だったのでしょうが、アイラには今回の隠れ里の出来事は予想していたのでしょうね」
「まったく、昔から魔力が強すぎて封印を掛けられて暮らしていたら、いつの間にか修行バカになりおって」
二人はしばらく感慨に耽っていたが、シオンの着付けが終わったと報告があり、我に返った。
「国王様、最上級の装備ありがとうございます!」
「うむ、気を付けて行ってくるのじゃぞ?」
「火のアーティファクトを手に入れたら一度戻ってきて欲しい。次のアーティファクトの場所を探しておくからね」
「はい、わかりました!」
元国王はシオンに向かって遠慮がちに伝えた。
「実は滅んだ都市を治めていたのはワシの弟だったのだ。弟なら必ず最後まで火のアーティファクトを守っていたはずじゃ。………可能であれば、弟の遺品を見付けてきてはくれないか?」
「そのような事ならもちろん引き受けます!」
「都市の周辺には、少ないが村が幾つかある。都市の生き残り達が作った村だ。1度訪ねてみるといいだろう」
元国王はありがとうと言ってシオンを見送るのだった。
「宰相よ、手配は大丈夫か?」
「はい、すでにシオン様達が向かわれる都市に斥候を送っております。手掛かりを見付けしだいシオン様達に伝えるように言ってあります」
「うむ、少しでも早く手に入れられるようこちらも支援しなければ、魔王軍が立ち直ってしまう」
「はい、無事に戻ってきて欲しいですな」
「まったくだ」
シオン達は地図を頼りに、まだ日が高い内に次の街まで移動したのだった。
「この調子なら明日には予定の廃墟の都市に着けそうね」
「ああ、その通り道に都市の元住民達が作った村があるんだったな」
「まずはそこで情報を仕入れから向かいましょう」
都市が滅んだ時、生き残った者は余り居なかったが、親族や商売の付き合いのあった者達が国の支援を受けて作った村だそうだ。
シオン達は日が落ちる前に、周辺の情報に詳しい村に向かうのだった。
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