生い立ち
アークは重たい口を開いた。
「俺は産まれた時から魔大陸に住んでいたんだ………」
!?
「あの魔王の住む魔大陸!?」
「魔物しかいないんだろう?よく生きてこられたな!?」
シオンとグレンが驚いた。
「魔大陸には魔王城のある『魔都』と、複数の魔物の部族が集まった集落があり、魔大陸の唯一の港街には迫害されて逃げてきた獣人や少数の人間が住んでいる街もある」
「魔大陸に人間が住んでいるなんて初耳だわ………」
アークは続けた。
「俺の母親は魔大陸の北にあるエルフの里から人身御供として捧げられたエルフの姫だった。エルフと魔族は長期に渡り戦い続けていたが、エルフは魔法に長けてはいたが、人数が少なく、これ以上数が減ると『種』として保てなくなると判断し、休戦協定を結ぶべく差し出されたのが俺の母親だった」
ふむふむ…………うん?人質として差し出されたんだよね?えっ、アークがいるって事はエルフの姫様って、18禁のような辱しめを受けた!?
シオンは想像して、アワアワと顔を真っ赤にした。それを見たアークは目を閉じて続けた。
「シオン、お前が何を想像したかわかったが、その想像通りだ。俺の母は魔王に陵辱された」
アークは拳を強く握りながら俯いた。
「えっ!待って!?それじゃ、アークの父親って…………」
「ああ!魔王と呼ばれているヤツだ」
!?
マジっすか!?
「魔王の息子………」
「マジかよ」
驚く二人にアークが続けた。
「不本意ながらな。俺は産まれてから魔王城で暮らしていた。魔王城には図書室もあり礼儀作法など一般常識は母親から教えて貰った。魔王の息子でも、俺の味方は母親と身分の低い侍女など数人ぐらいしかいなかった」
アークの生い立ちにシオンはなんて答えていいのかわからなかった。
「俺が少し前の16歳になった時だった。勇者の隠れ里が判明したと、魔王軍で大規模遠征が決まった。その時、母が慌ててやってきた。どうやら16歳になっても、俺に期待していた以上の魔力の覚醒が無かった事で俺の『破棄』が決まったそうだ」
「えっ、破棄って…………」
「魔王の目的は自分の血筋の子供を取り込む事で自分の魔力を高める事が目的だったみたいだな」
ガタンッ!
「本当に魔王ってヤツはクソだな!!!」
グレンが椅子から立ち上がり怒りをあらわにした。
「それって、アークの魔力が高かったら殺して喰べちゃうって事だよね。そして期待外れだったから殺すって、アークをなんだと思っているのよっ!」
シオンとグレンが憤るがアークは続けた。
「俺の事はいい。俺の破棄が決まった時、母は魔大陸を脱出することを決めた。大規模遠征で船が多く用意されていたので、その内の小舟を拝借して脱出するとき、シェイドデスに見つかり母は石化させられた。母の最後の願いの為に、1人で脱出したんだ」
「聖剣のある祠に行ったのはなぜ?」
「エルフの王族にだけ聖剣の封印場所が伝えられていたんだ。俺は母から聖剣の力を聞いていたからな。魔王軍と戦うにも聖剣の力が必要だった」
アークは備えてあった給水から水を飲み喉を潤した。
「取り敢えず俺の事はこれが全部だ」
シオンとグレンはアークの手を握り締め言った。
「グズッ、私にできることなら何でも言ってね!」
「ズズッ、苦労してんだな。僕にできることなら何でも言ってくれ!」
この二人を見てアークは思った。似た者同士だなっと。
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