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5.無菌缶詰
最近、これを書く気になる出来事がおこりました。
運命は数奇な定めの海に揺蕩い
理は悠久たる大地に沈んでゆく、常しえに────
人理は氷河の大巨人の舌に滑り、
嗚呼、哀しいかな──────まるでどこかの誰かと同じだ。
それでも、それでもこの世界が美しいとあなたが言うのなら!
きっと、貴方の瞳の窓は
綺麗なのでしょう。
だが、ご注意ください?その窓の点検を怠らぬよう。小さなヒビでも、見逃せば、大きな亀裂になるかもしれません。
さらに、もしかしたら、簒奪者が鉄槌を振り下ろすこともありうるだろう。なにせ君のような純真無垢な観測者は希少だからな。ゆめ怠るな。警備を厳重にし、箱庭を慈しむがよい。