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偏愛
偏愛
何ら変わりばえのせぬ、徒然とした、その庭に、
転がっている空き缶
どこからともなく飛来て、
我がユートピアを汚す。
貴方は云うだろう、
「元から、君の庭は汚れていた。見よ!その汚泥を!」
それすら気づかぬ程、
我が眼は曇っておらぬ!
言わばそれは、
定義の問題であり、
価値観の相違に他ならない。
貴方が、妻の切れ長の一重を愛するが如く、
私は、私の過去を愛している。
それはきっと、情熱であり、
それはきっと己の庭そのものである。
だから汝、他人の庭を嫌っても、
親切心は置いてゆけ。
しからば世界は、
安寧と、心地良き波砕ける音のこだまする、
甘美な楽園へと帰納するだろう。




