26/40
二九 原始
さあ、回帰しよう。
さあ、回帰しよう。
胎盤、いや、この宇宙に!
眠れる子供たちよ、
夢に揺蕩うが良い、
今だけは壊すことのできぬ幻想だから。
眠れぬ大人たちよ、
夜に浪漫の風を感じるが良い、
それは、希う限りは、終わることがないから。
拡大の最奥、
隠し扉をくぐり、
地下室の隠し戸棚に、
きっと記されているだろうよ、
幸福と絶望の在処は、
だが、絶対に読むことの能わぬ、
失われた古代文字で。
その羊皮紙と、
その没食子インクを、
怨もうにも怨めぬよ。
それは幸いの顕現ゆえに。
叫んでいる、傷の痛みに悶え、
ある筈もなき、シンパシイをば感じて、
そうすることでしか、
通じ合うそぶりすらできないから。
蓋し、それは力の代償。
支払うべき対価。
古の紋章と、
怪我された大地の、
忘れかけた最後の恩情。
きっと、揺り籠の中で感じていた、
祈りの果実と、
律動の記録帯。
そういう日は、
夜まで待って、
星を見上げよ。
見られぬ、薄汚れた天蓋の下で暮らす者は?
(not found)
泣き叫ばれる、
輪から弾かれた、
哀れなこども。
帰るところはある筈だ、
さあ、帰りましょう、
原始へ。




