表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生騎士の輪廻賛歌  作者: 七時雨
第1章「デジック・アンセム」
7/66

第6話「ウェイクアップpart2」

 廊下をしばらく歩き続けると、荘厳な神殿のような場所にたどり着いた。太い柱が何本も連なり、天井からは青白いステンドグラスの光が投げかけられている。


 しかもその模様は万華鏡のようにゆっくりと、絶えず変化していた。


 その奥に、白い繭が見えた。大きさはちょうどリュウトと同じほどで、あの中にその繭の大きさに見合った虫が眠っていると思うと、少し不気味だった。


 頭上のステンドグラスの色が変わり、オレンジ色の光で複雑な模様を描き始めている。そんな中であの繭は銀色の光を放ち、それ自体が輝いているようにも見えた。


「……まさか、あの繭なのか?」

「そうだ。この繭は、この世界の人間が開けないように設定されている」

「理屈は分かんないけど、大体分かった」

「そうだ。さぁ、彼女を解放してくれ。あの繭に触れるだけでいい」


 大きく息を吐き、繭に手を触れた。その瞬間、見たこともない景色を『思い出した』。


 捻じれた黒い六角形の柱、獣のような息遣い、血と狂気……


 まばたきをするように訪れた断続的なイメージに圧倒され、足元がふらついたリュウトはたたらを踏んだ。


「リュウト? 大丈夫か?」

「大丈夫。ちょっとふらついただけだよ」

「ならいいが……」


 息を呑み、再び手を伸ばす。


 そして繭に触れるとぼうっと光を放ち、それを構成する銀色の糸が解けていった。

 

 その中にいたのは、繭と同じ銀色の髪を持つ幼い少女だった。色が抜け落ちてしまったかのような白い肌に、黒いトーガのような服を着ている。


 繭から解き放たれて漂うように落下する少女を受け止めると、その華奢な体に少し驚いた。


 少しでも大きな力を加えたら壊れしまいそうな、その細い身体。まだ幼い彼女が、どうしてこんな繭に閉じ込められていたのだろうか。


 その時、何かに気づいたクラークが後ろを振り向いた。


「待て。何かいる」


 入り口からぞろぞろとロボット兵たちが現れ、冷たい銃口をこちらに向けた。頭部の赤く光る単眼が、危機感を募らせる。


 リュウトは半ば反射的に顔を強張らせたが、クラークは何も言わずただ浮いているだけだった。


「こいつらがこの子を?」

「そうだ」

「こんな小さな子相手に大人数で……!」


 その時、ロボット兵の一体がこちらに近いて、


「お前たちを連行する。抵抗は無意味だ」


 卑怯な奴、とリュウトは小さく毒づく。だが突き付けられた銃口に、なす術もなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ