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転生騎士の輪廻賛歌  作者: 七時雨
第1章「デジック・アンセム」
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プロローグ

 薄暗い洞窟のような場所、四体の騎士の像が見守る中で二つの死体が倒れていた。どちらもコートのようなものを着ていて、色はそれぞれ深緑と青だ。


 背中には切り裂かれた痕が痛々しく残され、あふれ出した血が赤いシミを残している。


「ど、どうしてお前が……気がおかしくなったのか⁉」

 

 オレンジのコートを着た男が怯えながら後ずさる。その手には剣が握られていた。


『いや、私は至極まともだとも』


 白いコートの人影が血まみれの剣を手にして、ゆっくりと男に近づく。顔はフードとマスクに覆われ、その声は複数の囁き声のようにかすれていた。


 それから騎士の像の鎧、その隙間から黒い液体のようなものが次々と吐き出され、白いコートを真っ黒に染めた。


「教団を裏切ろうというのか!」

『彼らは何もしてはくれない。私の望みを叶えるには、こうするしかないんだよ』


 液体がマスクを覆い、ひし形を形作る。黒曜石のようなマスクが虹色に分光された光を反射し、男の顔を映し出す。


「ならここで、お前を倒す!」

『できるかな?』


 男が叫び、剣を振り上げる。黒い人影は手に持った剣すら動かさず、じっとその場で立っていた。

 そしてその刃が黒いコートを切断しようとした瞬間、男の腹部を何かが突き上げた。


「何ッ⁉」

 

 人影の背中から伸びた三本のツタの、その先についているつぼみが男の腹部を押し上げる。そしてその先端が輝いた瞬間、三筋の光が男の身体を三つに切り裂いていた。

 

 輪切りにされた男がどしゃりと地面に落ち、洞窟を静寂が支配した。


 四体の騎士が静かに死体を見下ろし、天井から差し込んだ光が深緑ターコイズ色となって降り注ぐ。


『さぁ、全てをここから始めよう。私の願いのために』



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