俺はこの一連の流れを見てまともでいたいなと思ったのでしっかり勉強をして魔道士になりたいと目標をたてたので頼むから俺を巻き込まないでください!
「推しを信仰します」が元々分かりづらいのでそれを読んでからも分かりづらいと思いますがそれを読んだ方が分かりやすいとは思います。
前作の感想ありがとうございました。「やはり早口なんでしょうか」というご感想で爆笑しました。早口ですね、オタクなんで。
はい、こんにちは。リーヴェです
学園生活が始まりフレイヤちゃんとアロルド様が最近仲良くお話している事が多いのです。
これが噂に聞く悪役令嬢ざまぁ系ヒロインですか?フレイヤちゃん!まぁ可愛いから仕方ないですね。世の中顔が全てです。
そんなフレイヤちゃんが今、面白い人を連れてきました。
「えーっめっっちゃかわいいじゃーん!キミ彼氏いる?え?どこ住み?てかラ○ンやってる?」
出会い厨です。
「なんですの?この方は?」
「自分が異世界に転生して乙女ゲーの世界だといざ知らず魔法の才能が高くて顔も良かったがために女にモテまくって「あれ?これもしかしてラノベでよくあるチート系ハーレム物語じゃね?」と図に乗りまくった攻略対象です」
「まぁ」
そういえばなんか見たことありますねこの銀髪にアイスブルーの瞳。なんか次期宮廷魔導士長とかそんなんじゃなかったですかね?あーーー私基本アロルド様以外のルート、ストーリーすら曖昧なとこあるんですよね。なんかチャラ男的な感じの人じゃなかったですか?この人の闇とか覚えてないですね。
「貴方お名前はなんと仰るの?」
「俺はエディ・リードホルムだよ、エディくんって呼んでくれると嬉しいな」
「エディ氏」
「お、おぉ、おう………なんて反応しづらい…」
エディ・リードホルム、伯爵家の長男坊ですわね。そういえば学園では女の子に人気みたいな噂を聞いたような聞かなかったような。
「何故フレイヤちゃんとお知り合いに?」
「あぁそれはですね……」
「この世界の女の子可愛いんだけどこれといってこう、特徴的じゃなくてパッとしなかったんだけど、この学園でめちゃくちゃ可愛い子に会ったと思って話してみたら乙女ゲームのヒロインだったんだねーって感じだよ」
「女たらし設定なのでデフォルトだと思って冷めた目で見てたら顔色変えたのでもしかしたら…と話してみると案の定転生者でしたね」
「冷めた目っていうかこの世の汚物をそこに集めて放置されたものを見る目だった…」
なるほど。フレイヤちゃんは一途な人達が大好きですからね、女たらしやハーレムや逆ハーレムなんかを見ると怒り狂うのです。私は夢女と萌女と腐女で構成されているのでなんとも思わないのですが。
「しかしなんで日本人ばっかりなのかしらね、どうせならイケメンハイスペックな英語バリバリな人がいいわ」
「え?今俺イケメンじゃん」
「英語バリバリでもここでは役に立ちませんよぉ」
「無視しないで」
確かに英語は役に立たないけれどもやはり高スペックは女の子の憧れじゃない?やっぱり前世持ちであれば自分のことを分かって貰っているから気を遣わなくて済むし、こんなにぽんぽんと転生者が出てくるのならどうせなら理想の結婚相手は高スペックイケメンの推し信仰に理解のある方です。
「リーヴェ様は英語喋れる方がいいのですか?」
「英語ってかっこいいじゃない?」
「安易だ………」
さっきから外野がうるさいのですとエディ氏の存在を思い出しました。エディ氏は顔はいいけれど性癖じゃない。性癖に刺さりません。そもそも中身がハーレム野郎だと思うと苦労しそうですし、こういうタイプって「好きになったら一途」とか自分で言っておきながら貞操観念低くてそこらで女にアピールかけられたらはねのかす力もなく、その女の子のつらい過去とか知れば無下にはしない、男からみれば羨ましく、女から見ればクソ男なラノベ系主人公タイプですね。
「え、リーヴェちゃん何そんなにまじまじと見ないで照れる」
「リーヴェ様!私、英語話せますよ!」
「えっ嘘!?」
フレイヤちゃんがしばらく考えた素振りをして突然声をあげましたら、なんと。フレイヤちゃんはおかしな行動が多くてやばいなと思うのですが、言動の節々から賢さが伝わってきますよね。
「私これでも前世では大学院へ行く予定でして、その前に死んじゃったんですけど大学では専攻が西洋文化史でした。英語のほかにラテン語、スウェーデン語、フィンランド語、ドイツ語、フランス語ができますよ!ただ、英語以外は発音は自信ないのですけど…でも、書いたり見たりするのは完璧ですよ!」
「えぇ!!?」
まさかのヒロインがハイスペック。
しかも随分使うかどうか分からないところの言語が出来るのは何故ですか。というかフレイヤちゃんの頭めちゃくちゃいいのでは。
「というかラテン語ですか、SAN値ピンチになりそうですわね」
「禁書を読むためには必要でしたので、まぁ英語やフランス語が出来ればそんなに必要では無いのですけど、実際に見たほうが理解が早いかと思い…あの当時翻訳版では翻訳者の偏見も入りますからそれを比べるためにも覚えたのですけどそう考えればここがクトゥルフ世界でしたらやばかったですね」
「俺、それ聞いて思うけどフレイヤちゃんのSAN値は削られないと思う…嬉々として神話本読んでそう」
確かに。フレイヤちゃんはAPP18固定でEDUが限界突破したみたいな感じでどっちかというと神話生物に近いような…。ニャルラトなんたらっぽいですよね、え、怖い。底知れない不気味さにリーヴェは不安に包まれた、1D3のSANチェックですか。やだアイデアロール成功しすぎ…?
「そんな事言いますけど私もビビりですよ!クトゥルフじゃなくモノホンな世界だと思って現に転生した時ビビり散らしましたから。ラテン語を覚えているだけでちょっと怖かったんですよ、ここの世界西洋風でしたし。平民なので集団ヒステリー起こされて魔女チェックされるのも恐怖ですし異端審問されれば言い逃れできませんし。それに比べると王族に喧嘩売るくらい…」
「いや、おかしいからね。生まれて恐怖値が最大だからって王族に喧嘩売ったら普通に不敬罪で首飛ぶからね?」
エディ氏がするどくつっこみましたね。私もそう思います。
「全裸で水に沈められたり火で炙られたり身内を魔女と吐くまで死にも出来ま10な拷問をされるよりか首をサッと飛ばされる方が慈悲深いですよ。恐怖に値しません。」
フレイヤちゃんのこの無謀さはここが原因なのですね。命がいくらか軽くなっちゃってます。賢さも極まるといいことがないと学びました。
しかしここの世界観がふわふわで良かったですよ本当に、もしかするとフレイヤちゃんに会う前にフレイヤちゃんが死んでいたと思うとそれこそヴィルヘルム様の闇堕ちルートまっしぐらで私は真っ青ですよ。
「それにしてもリーヴェ様の好みは英語を話せる人なのですね?因みに地雷殿下は結婚対象では?」
「婚約者なんだから結婚対象なんじゃないの?」
「いいえ、アロルド様は御本尊であってわたくしではとてもとても…アロルド様がお望みであればなんでも致しますが…現実的な結婚相手では英語バリバリな高スペックイケメンですわ。金髪碧眼…は性癖ですけどそんなにいませんものね。顔がよければ大丈夫ですわ」
「え?え???」
「……なるほど……私がヴィルヘルム様に英語を教えればいけるのか……?」
フレイヤちゃんは何やらぶつぶつとなにごとかを呟き、考え込んでいるご様子。エディ氏は全く状況が掴めてないですね。フレイヤちゃんもしかして私たちの戦いを何も説明せず連れてきたのでしょうか、アロルド様の事をただの婚約者だと思い込んでいますね。残念、その方は攻略対象ではなく信仰対象です。
「ついでなのですけど、エディは好みじゃないですか?」
「銀髪アイスブルーの目は好きだけれども中身が伴っていないから対象外だわ。この見た目はクールで冷酷でなければ。ラノベ野郎め」
「流石ですリーヴェ様。私もそう思います。」
「え?待って?なんでついでに罵られたの俺?ラノベ野郎ってなに」
エディ氏ごめんなさい、でも見た目と合ってないんですよ貴方。私のオタク魂がキャラ違う許さないと叫んでいるんですよ。銀髪は隠しキャラやら生真面目やら王子やらなのに女たらして。本当に解釈違い。それこそ女たらしは金髪か茶髪か赤髪なんですよ違いますよほんとに。なんでもギャップをつくりゃいいってもんじゃないんですよ。あれですよ、青髪が熱血キャラだった時の妙な違和感と同じタイプなんですよ。そういうことです。
「良かったです。リーヴェ様アンケートご協力ありがとうございました。…リーヴェ様がご興味を示されない以上おまえは私の駒です。ほら、行きますよ」
「え?、え?え?」
「あらあら」
アンケートでしたのですか。フレイヤちゃんが困惑したエディ氏を引き摺って行きました。あのハイスペックと堂々とした態度は転生悪役令嬢の名に相応しいと思うのですけど、あの子ヒロインなんですよね……。
底知れぬ不安をまた感じました。あ、SANチェックですかね…。
***
めっちゃ可愛い子がいて話しかけたらゴミを見るような目で見られたイケメン、エディ・リードホルムです。
あのフレイヤちゃんとリーヴェちゃんに出会った一件で仲良くなり、いやーハーレムは男の夢じゃん?とフレイヤちゃんに言うと「そんな夢は男根と共に折れてしまえ」と言われて思わず前を隠しました。リーヴェちゃんは「確かに見目麗しい子達に囲まれてあんなことやこんなことをされるのは惹かれますけれど」って言ってくれたのになぁ、でもあくまで二次元でやること前提で現実に考えるやつとかやべぇんじゃね?と言わずとも伝わってくる目で見られたけど。皆怖い。
学園で過ごしていくうちにリーヴェちゃんの婚約者のアロルド殿下と話すようになった。アロルド殿下の前でリーヴェちゃんに話しかけたら「何故お前ごときがリーヴェの名を呼んでいるわけ?次期王太子妃なんだけど、首をとばされたいわけ?」と権力でモノを言ってきた。え?テンプレ婚約破棄系王子だって聞いたよ?だしそもそも乙女ゲームの攻略対象だよね?いいのか、そんな身分にものを言わせる性格で。
リーヴェちゃんはそんな事を言ったアロルド殿下の事を微塵も気にせず「さすがですわ、やはりアロルド様の顔は違いますわね」小さく呟き一瞬こちらをチラ見した。俺は絶対に泣いていいと思う。攻略対象らしいし、容姿端麗だろ俺は!リーヴェちゃんの好みではないからってそれはひどくない?
フレイヤちゃんはアロルド殿下に対して「リーヴェ様は時期王太子妃じゃないですよ童貞こじらせすぎじゃないですか?妄想が激しいですよ」と言っていた。ちょいちょいちょい、聞いてはいたけど本当に不敬だな!?命がおしくないのかな!?
そうしたやり取りをしているうちにここのメンバーで過ごす日が多くなった。アロルド殿下とフレイヤちゃんはいっつも喧嘩してるからもう一周まわって親友だよ君たち。リーヴェちゃんもアロルド殿下とフレイヤちゃんが仲良くしてるからざまぁされるのねって思っている顔をしている。しかし断罪前提でなぜそんな涼しい顔をしているのか。フレイヤちゃんにしてもリーヴェちゃんにしても死の恐怖より自分の使命感に忠実だよな。
そんなこんなな日常を送っていたら、ついにきた。勘違い女が。
もはやこの流れもテンプレ。アロルド殿下はそりゃもうリーヴェちゃんが信仰するほど顔がいい。そんな顔のいい殿下に一人二人やばい女がつかないわけが無い。
そのご令嬢はリーヴェちゃんを陥れるためせっせと自作自演の自分いじめられたアピールをしていた。すごいぞ。
この現象をリーヴェちゃんの言葉を借りるならば「夢小説のざまぁ系でホモ小説の嫌われの王道物語、作・演、全部俺」現象。因みにホモ小説の嫌われだと女が受けを呼び出し密室で叫び声を上げ襲われた体を装うそうだ。いやかじりすぎだリーヴェちゃん。オタクの俺もよくわかんねぇよその流れ、男だったからかもしれないけど。なので「ホモ小説はあれとして夢小説って何」と俺が聞くと「わわわわたくしフォ○ストもナ○のサイトも消しましたわよ!!管理人とキャラに会話なんてさせてないし、拍手でお礼にキャラ会話文なんて書いてないわ!探ろうとするだけ無駄よ!!」と非常に慌てられた。へぇ、全部やってたんだなぁこれ。可哀想だからそっとしておこう。
そうその現象を起こしているピンク髪ピンク目の女がついに仕掛けてきたのだ。これまたテンプレな色合いだ。只今廊下でリーヴェちゃんとエンカウント中。しかしいくら婚約者がリーヴェちゃんとはいえ、何故普段一緒にいるフレイヤちゃんにふっかけなかったのか。身分も子爵のがまだいけると思えるだろうに。公爵に喧嘩売るとかなかなか勇気がいるぞ。まぁ確かにくりんとした大きな瞳がデフォルトなフレイヤちゃんに絶対零度の目でボロカス言われたら立ち直れないけどな。フレイヤちゃんはまじで強い。それに対応するアロルド殿下も強すぎる。何気にあの二人似てるよな。それを踏まえてちょっとフレイヤちゃんと女の子がバトるの見てみたい気がする。
さておき、エンカウント中を俺と殿下とフレイヤちゃんは固唾を飲んで陰から見守っているという図だ。フレイヤちゃんはその現象を起こす女が大嫌いの地雷らしい。だが、アロルド殿下が今にもリーヴェちゃんを庇いに行こうとするのをフレイヤちゃんが止めた。何故かと尋ねると「こういうのに男が関わると余計にややこしくなるのとあとキャットファイトに男が口出すなって私思います。」とフレイヤちゃんは言った。え、女子怖い。戦闘民族かなにかなの?
そんな中ついにピンクの令嬢がおそるおそる口を開いた。
「あの、ニスカヴァーラ様、私の教科書をボロボロにしたのはニスカヴァーラ様ですか…?」
いきなり切り込んできた。しかしまぁよくも証拠も何も無い状態でリーヴェちゃんに直接言うものだな。ちなみに実況はエディと解説はフレイヤちゃんと殿下でお送りしている。
「なにぃ!?リリアたそをいじめていたのはニスカヴァーラ嬢なのか!?」
「リリアたそ泣かないで!」「リリアたそ〜」
おっと、取り巻きの男のスペックが低い。ふくよかなメガネばかりだ。フレイヤちゃんは隣で「あのリリアとかいう女のあだ名はオタサーの姫で決定ですね」と、いや俺も思ったけど〜一瞬思っちゃったけど〜。アロルド殿下は「ふむ、さらし首がどんどん増えるな」と感心している。待って!?アロルド殿下そのさらし首に俺含まれてないですよね!?てかあんた暴君すぎるだろ
「ピンクの子以外お黙りなさい」
ピシャリと言い放つリーヴェちゃん、カッコイイ。あれだけ黒歴史に狼狽えていたリーヴェちゃんでも悪役令嬢みたいな雰囲気だせるんだな、いや見た目は悪役令嬢らしいけど。
「横暴だ!」「リリアたそを傷つけた分際で!」
ワーワーと反論をするオタサーのメンバーだがリーヴェちゃんはあからさまに眉をひそめつり上がった目を細めた。怖い。リーヴェちゃんは美人だけど迫力があるよな。確かに見た感じで悪者にされそう感はある。いるいる気が強くて誤解される女の子クラスに一人はいる。
「まぁ!嫌だわ!わたくし顔面偏差値が低い方に責められるのは酷く屈辱ですの。お願いだわ、話しかけないでくださいまし」
お、おおう?これはリーヴェちゃんの暴言が悪いぞ?なんだこれは。誤解される女の子で話したけど割と誤解じゃないぞ?オタサーメンバーもショックを受けたのか黙り込んでしまった。辛いな、でもお前らも悪いぞ。というかこういうのってすごい低レベル相手に悪役令嬢が論破する戦いじゃないの?ちがうの?
「リーヴェ様は顔が全てですからね、顔で話す相手をまず決めます」
「最低じゃねぇか!」
「まぁ身だしなみを整えないほど自分に無頓着な相手と関わりを持っても貴族としては損しかないしね。リーヴェがあってる」
「なにその就活の指摘みたいなの!?殿下いいようにいいすぎですよぉ!絶対リーヴェちゃん違いますよあれ」
俺とリーヴェ厨二人じゃ分が悪すぎる。リーヴェちゃん贔屓がすぎる。まぁでも自作自演してきたのはあっちだしな、本人同士の戦いに勝手に介入したのもあちら側だ。まぁたしかにリーヴェちゃん悪くないな。暴言がすぎるけど。
「しかし貴女……」
「な、なんですか…!?いくら公爵家のご令嬢だからってこんな…こんなこと…!」
リーヴェちゃんが口を開いた時にびくりと震え、涙をうかべるリリア嬢は庇護欲が確かにそそる。可愛らしいご令嬢だ。リーヴェちゃんと対峙してるから余計に護りたくなるような感じする。気にした様子はなくまじまじとリリア嬢を見つめるリーヴェちゃんは何を考えているのか。くるか、始まるのか、バトルが。ごくりと唾を飲み込んだ。
「…ピンクは淫乱と決まっているのにどうして乳がないの?」
「は?」
俺もリーヴェ厨もリリア嬢も取り巻きも一同ぽかんとしている。え、なんて?リリア嬢の言葉を総無視した後なぜ、乳。確かにリリア嬢のおっぱい絶壁だけど!ツインテールの時点でちょっとおっぱいないの察するけど!
「ピンクは淫乱は世の摂理よ?ピンク髪のおっぱい大きいサキュバスがラノベ系主人公に貴方気に入ったわって言ってエロ同人みたいなことするまでが遠足よ?」
「ハァ???」
「貴女よくないわ、そんなオタサーの姫みたいな格好して地下アイドルにでもなるつもり?せっかくピンク髪のピンク目で可愛い顔しているのだから乳はないならラノベ系主人公にひっそりと想いをよせるメインヒロインくらいにはなれるんだからもっとこう、そうねリードホルムの長男坊がいいのじゃないかしら、あれラノベ系主人公感ちょうどいい感じにだしているのだし」
「な、なな何?褒められているの?貶されているの?そしておすすめされてるの!?」
リリア嬢は酷く困惑しているけれど陰から見守るこちら側はもっと混乱している。俺なんかよく分からないけれど売られている。ラノベ系主人公感だしてるってなに、顔がいいだろ俺はどっちかっていうとラノベ系主人公の近くにいるライバルのイケメン枠だろなんでだよ。
「わ、私はアロルド殿下を…」
リリア嬢はアロルド殿下をお慕いしているのはよくよく分かるんだけど、アロルド殿下はリーヴェちゃんという婚約者がいるのだし、やってること悪いよねってあとそんなにアロルド殿下と話しているとこ見たことないけどっていう思うところすごいあるのになんかリーヴェちゃんのせいで違う思考がこう、リリア嬢が本気で「なんの変哲もない平凡なラノベ系主人公が美女や美少女に好かれる系で主人公の事がずっと好きだったクラスメイトの女の子のメインヒロイン」にしか見えなくなってきて君はアロルド殿下じゃないよ〜ってなってきた。やめろオタクの思考が追いついてきた。
「貴女はアロルド様に相応しくないわ」
「っ!何故ですか!…やっぱり身分の事をおっしゃるのですね」
アロルド殿下がリーヴェちゃんがきっぱりと言い放った事にご機嫌になってる。「あの娘は男爵の令嬢だろ、身分が前提に出るのは当たり前だよね」と隣で言っているのでフレイヤちゃんは腹が立ったのか「ふうん。身分違いの恋がしたいのですね?地雷殿下とあの娘がくっつくように手配いたしましょう、なのでリーヴェ様を縛り付けるのはやめて欲しいですね」と。ひえ、俺を挟んで戦わないで。
「身分は確かに高い方がいいわ。けれどそれは根本的な問題じゃないの」
「ではなんだと言うのです!?」
「色よ」
「いろ」
「そう。アロルド様は金髪碧眼でしょ?隣にいるのは同じ金髪か又は亜麻色、黒髪がいいわね。一番いいのは銀髪ね」
「は?」
「理想は銀髪紫目でオークに陵辱されて「くっ…!殺せ…!」というエルフの姫騎士がいいわ。プライド高そうな」
エロ同人誌脳とカップリング厨が混ざったカオスな脳をしているのかリーヴェちゃんは。というか色合い?色合いで考えてるの!?しかしなんでくっころ姫騎士!?いや、合うな、確かに。プライド高いくっころ姫騎士がオークに凌辱されそうな所を王子に助けられたと思ったら王子は鬼畜で、その鬼畜王子にあれこれされる超マニアックな本俺も買ってた〜。俺だってオタクだから分かっちゃうんだよ…。
「く、黒髪を入れているのはニスカヴァーラ様が相応しいからということだからでしょ!?」
まぁ流石にそりゃ婚約者だからそうだろうと。ちょっとショックを受けていた殿下だがリリア嬢の発言で気をよくしたのか「何言ってるんだあの女は頭がおかしいのか」と殿下。ごもっともです。けどリーヴェちゃんも大概ですよということは胸に秘めておこう、今度こそ侮辱罪で俺が先に死ぬ。「地雷がリーヴェ様に相応しくないんですけどね」と何言ってるんだフレイヤちゃんやめてホントに俺を挟んで戦わないでってば。
「わたくしじゃないわ」
「!?」
「理想はくっころ姫騎士よ、でも現実的に考えてアロルド様のお隣に相応しいのはアルノルフ様なのよ。黒髪を入れたのはわたくしのお兄様が次点で相応しいかと思って」
にこりと微笑むリーヴェちゃん、めちゃくちゃ可愛い。めちゃくちゃ可愛いが故に隣の殿下に致死量のダメージがきてる。「何故……何故ルーカス……ルーカスはやめろ、ルーカスだけはやめてくれリーヴェ」と呟いている。え、アロルド殿下はリーヴェちゃんのお兄様に何をされたの。でも待ってくれアロルド殿下は第一王子の事否定も何も無いのか、え、第一王子はいいのか?…いいのか!?やばい怖くなってきた深く考えるのはやめよう。対しフレイヤちゃんは高笑いが止まらないご様子「わはははははウケるー!超ウケるんですけどー!!ねぇ今どんな気持ち?ねぇねぇ今どんな気持ち!??」と煽りに煽っている。正直に言う、やめたれや。
「でもそれもわたくし的には美味しいのだけど現実的に難しいじゃない?と考えたらやっぱりフレイヤちゃんなのかしらと思って亜麻色の髪を入れたのよ。」
あ、飛び火した。ちらりとフレイヤちゃんを見ると案の定血を吐いて倒れている。煽るからこんなことに。「意味がわからないです!何故ですか!」と涙を流しながら訴えているがアロルド殿下もさらに被弾したのか「こんなやつを候補に入れるのに何故自分という選択肢がないんだリーヴェ」と綺麗なお顔から涙を流している。リーヴェちゃん、あなたの何気ない一言で地獄絵図が出来上がります。
「ふざけないでよ!色ごときでどうして決められなきゃいけないの!?」
「逆に色と見た目以外で決めれることがあるの!?」
なんでリーヴェちゃん逆ギレしたの!?いやそりゃ色が良くないと言われて相応しくないはそれはリリア嬢もキレるよ!お願いだよ正論で論破してくれよ!
「貴女が可愛いのは分かるわ!けれど図に乗りすぎではなくって?わたくしはアロルド様を信仰しているのよ!?」
すげぇ正統派悪役みたいなこと言ってるのに信仰でなんか違う感があるよリーヴェちゃん。
「私は愛してるわ!」
「ハァン!?どこをどのように愛しているの!?」
「か、顔がかっこいいもの!」
「わたくしも顔よ」
「顔なの!?」
「なんだ同じじゃない。貴女わたくしがアロルド様に相応しくないと思って喧嘩を売ったのよね?」
「そ、それは私を、好きになってほしくて…」
「やめておきなさい。アロルド様は女をボロ雑巾か何かとお間違えなのよ。可愛らしい貴女は「なんだあの女は頭がおかしいのか」と言ってポイよ」
うわそれ殿下言っちゃってたよ。
「な、なによ貴女アロルド殿下のことそんな風に思っていたの婚約者のくせに!私はそうならないわ!」
「貴女は本当に殿下の顔しか見ていらっしゃらないのね」
「なんですって!?」
「殿下のキラキラ王子スマイルを見て「ぜってぇ今人見下したな」という雰囲気に気づかないだなんて本当に好きと言えるの?」
「え?そんなこと思っ…」
「思っていらっしゃるのよ。貴女は顔が好きと言ったわ、わたくしも顔が好きなのよけれどそれは恋ではないわ、愛しているそれは神を愛するようなものではないの?決して手に届いてはいけない存在だとは思わない?顔が芸術、顔が誠実、顔は裏切らない、顔が素晴らしい、それは崇拝したいほどに。貴女のそれはきっと恋ではないわ。そう顔が裏切らなければ性格がどんなものでも構わない。それをひっくるめて愛すのです。そう、恋では無い。けれど愛しているわ、それは神を愛するように、アロルド様を愛しているの。それは恋愛?いいえ、信仰心よ。崇め、奉り、敬うの」
「信…仰………心」
「えぇ、奉り、敬うの。」
「タテマツリ……ウヤマウ………」
リーヴェ教祖―――!!!おやめください!!!
今、カルト教団に勧誘されている現場を目撃してしまった!隣のアロルド殿下が本格的にすすり泣きを始めなければ俺も危うく洗脳されるところだった!モロに洗脳を受けているリリア嬢はあれはもう多分ダメだろう。マモレナカッタ…。
ていうか殿下…顔だけとか、顔が誠実とか、顔しかないじゃん…哀れ。そりゃ泣くわ、本当にやめてあげてよ……可哀想すぎて頭を撫でてしまったらフレイヤちゃんがそれを見て「それもそれでリーヴェ様が喜びますからある意味リーヴェ様が最強なんでしょうね。」と呆れながら言った。
「その信仰をするにあたって貴女は何を捧げたいと思うの?」
「私は…私は私のできることを」
「貴女のできること?それはお布施ね?」
「オフセ……?」
カ、カルト教団だ…金を巻き上げようとしている…ソーシャルゲームの課金制度か?これは課金ではない、推しの生活費と今後の発展への投資と感謝の気持ちですとお布施する課金厨の口上のように投資するよう誘発している…。
「御供養かしら?そうであれば貴女が稼がなければならないわ。親のお金は良くないわね、汚いお金もダメよ。それを推しにこれを使ってくださいと渡せるかしら?」
「そんな!それであれば私にはとてもできません…!リーヴェ教祖、私はどうすれば」
「安心なさい、貴女の才能は今しがた目の当たりにしたわ。………お兄様!いらっしゃいます!?」
リーヴェちゃんが突然声をあげると、どこからともなく癖のない真っ直ぐな短い黒髪につり上がった金色の瞳のイケメンが現れた。こんな美し麗しはニスカヴァーラ家の長男だろう。ルーカス・ニスカヴァーラ公爵令息、三歳年上の最高学年で今は生徒会長だったか、次期宰相のお方である。肩書き多い。
「はーいどうしたの?僕の愛しのリヴ。リヴに呼ばれた気がしたから転移魔法で別棟から飛んできちゃったよ」
「まぁ、ありがたいですわ。お兄様には今日からこの子をプロデュースをしてほしいの」
「おーこの子なかなか才能がありそうだねぇ。ルーカス・ニスカヴァーラです。あ、はい僕の名刺。よろしくお願いします。」
「え?え?はい、よ、よろしくお願いします…!リリア・エングバリです……!」
「僕のことは気軽にリュカPとでも呼んでね。君を国一番の最高のアイドルにしてあげるからね!」
なにしてんの!?いや、なにさせようとしてんの!?というかリーヴェちゃんはルーカスさんに何をしたの!?色々!色々気になりすぎて!もう、なんだよ!俺だってシンデレラなガールズやミリオンなステージでめくるめくプロデューサーライフを歩みてぇよ!!みんなでシャンシャンとか転校生でもいいからお願いだよアイドルを育てさせてくれよ!最高のステージを用意してぇよ!
落ち着け俺。隣の殿下を見ろ。うわやべぇチラ見したら殿下のポカン顔が凄かった、反対を見るとフレイヤちゃんも何事かと目を見開いている。俺は思った、クソチートな殿下でもましてやハイスペックなヒロインフレイヤちゃんでもリーヴェ教祖のマインドコントロールというものには勝てないのだと。
それはもうじわじわと着実に、知らないうちにリーヴェちゃんの脳へと浸透していっているのだと。
リリア嬢は数日後シングルをリリースし、爆発的人気を起こした。
リリア嬢が信仰している第二王子と有名になり第二王子への信者が増えた。リリア嬢が広告塔となりリーヴェ教祖はご満悦の表情を浮かべていた。
後にあまりにも支持を集め、リリア嬢は稼いだお金は奉公として王族に送っている為、絶対的忠誠を誓っているようなものなので陛下からバックアップされリリア嬢の人気は留まることを知らず、リュカPも満足そうだ。
ただアロルド殿下の精神がやばい。けれどもリーヴェちゃんは気付いているのだろうか、第二王子の信仰が平民にも広がっていることで王位継承はほぼアロルド殿下に渡るだろうと言われている。リーヴェちゃんは必然的にアロルド殿下と婚姻しなければならない。無意識に自分から外堀を埋めているリーヴェちゃんに対してアロルド殿下はそこだけとても嬉しそうだ。なんだかアロルド殿下、とても健気だと思うよ俺。
フレイヤちゃんは負けず奮闘している。最近は何故かヴィルヘルム様の様子が別の方向にいっているわ、これじゃあダメだわと頭を抱えている様子。一体何があったのだろうと気になるところだ。
そしてそのヴィルヘルム様は何故か英語を話せるようになった。どういうことなんだ。
俺はこの一連の流れを見てまともでいたいなと思ったのでしっかり勉強をして魔道士になりたいと目標をたてたので頼むから俺を巻き込まないでください!
ラノベタイトル