2ー2
「まさか、あれだけ堂々と握手会に来ている高身長のイケメンくんと恋人同士じゃない、なんて言わないわよね?」
まにぃたんの審美眼に舌を巻く。
本当のことは言えない。だから。
「僕と彼はたまたま推理が好きという共通の趣味があるだけだよ。それだけ」
それは真実だ。
そして、彼には婚約者がいる。そのことを言われるたびに、僕僕は悲しくなる、とまでは言えない。
だって、それを認めてしまったら、もうハニガに居られないということになるのだから。
「なるほどね。それでこの前の血ノリがすぐにバレたわけだ」
「なんとなく、だったけど」
「言っておくけどあたし、本って名前のついたものは楽譜と台本以外は読みたくないの。ほら、推理小説なんて小難しいだけでしょう?」
「そうかなぁ?」
実際、まにぃたんが本を読まなくても、僕としてはかまわないのだが。
「じゃあ、そんなきらりんに質問です。今日は活動をお休みしちゃったナンバー2の櫛野 りさ、通称りさっちが休んだ理由を推理してみせて」
「はぁ? そんなこと、わかるわけないじゃないか」
「でも、突然休んだのよ。あたしはりさっちに男ができたと思ってるんだんだけど、どうかな?」
「どうって、そんなことできないだろ? アイドルなんだし」
だからだよぉと、まにぃたんは頬をふくらませる。それでも可愛いのだから、困ったものだ。
「アイドルはハニガるんのために恋をしちゃいけないの? 我慢しなくちゃダメなの?」
「そんな、堂々と言うことじゃないんじゃないか?」
「そう? アイドルだって人間だし、恋愛の自由は認めて欲しいわ」
ステージの外でまでアイドルでなんていられないわ、と自由恋愛主義者のまにぃたんは頭を抱える。
「そりゃあお客をハニガるんにさせるために、バーチャル恋愛の対象になることまではわかるけど。こっちはただのお仕事だもの」
「まにぃたんは、これまで一度も恋愛がバレてないのが流石だと思う」
「だってバレたら終わりだもの。だったらバレる前に自分から発信しちゃうわけよ」
不思議なことに、それらの発信のすべてをまにぃたんのお遊びと受け止めてくれるハニガるんって、懐が広いのか、呆れているのか、謎なところだが。
「それで? きらりたんはどうしてりさっちがお休みしたのかわかった?」
僕はうーんと頭をひねった。
「突然の休み、理由なし、これだけで推理するとしたら――」
つづく




